ogurakaikei’s ブログ

会計・税務及び経済関連(時々雑談)

三菱倉庫の決算書を覗く(2026年3月期 2Q反映)

「倉庫会社」は、もう看板の半分に過ぎない。 三菱倉庫は、トータルロジスティクスへ営業体制を組み替え、不動産は「資産回転型」で稼ぎ、さらに蓄電池まで仕込みに入った。 ただし今上期は、海外子会社の失速がそのまま営業利益に刺さった。 一方で、政策保…

楽天グループの決算書を覗く(2025年12月期 3Q反映)

もうすぐ楽天グループの決算発表が来るので、その前に3Q(1〜9月)までの数字を覗いておく。 今回の読み方はシンプルだ。 「フィンテックが稼ぎ、モバイルが締まり、インターネットが粘る」 1 まずは数字で全体像をつかむ(2025年1月〜9月累計) 3Q累計(1…

新しいリース会計ルールのポイントまとめ

1 まず結論 すべてのリースを貸借対照表に計上する:ここが最大の変更点 これまで「賃借料」で処理していた費用は、減価償却費+利息費用に姿を変える その結果、資産と負債は増える⇒キャッシュ・フローの見え方も変わる 2 どうして変わるの? 1993年:ファ…

ブックオフの決算書を覗く(2025年5月期反映)

「本を売るならブックオフ」で始まった同社は、いまや「趣味用品ユニバース」を舞台に再成長の波に乗っている。 2025年5月期の本決算と中期経営方針の上方修正資料を読むと中古書籍だけに頼らないポートフォリオ転換、海外ドミナント出店、そして大株主から…

サイゼリヤの決算書を覗く(2025年8月期3Q反映)

「値上げをしないファミレス」で知られるサイゼリヤが、なぜ原材料高の逆風下でも最高益を更新できるのか。 2025年8月期第3四半期(2024年9月〜2025年5月) の決算書には、その答えが端的に表れている。 国内では朝食への時間帯拡張、海外では中国一本足…

「受発注取引・内部統制って結局どこを見ればいいの?」

1 まずは全体像:受注フローは7段階で考える 見積・受注段階 工事案件の選定(入札可否判断) 積算・契約金額の決定 契約締結 工事契約の管理(変更・追加対応) 完成・引渡し 代金回収・債権管理 どの会社も大枠は同じ。 ただし各ステップに「建設業あるあ…

営業パイプラインを動かす2つのカギ「新規顧客数」 × 「問い合わせ数」

1 「問い合わせ」が増えなければ「新しいお客さま」は生まれない 既存のお客さまとの取引を深めるだけでは、いつか成長が止まる。 かと言って、新規開拓ばかりに偏ると定着せず利益が薄くなる。 だからこそ「問い合わせ数 → 新規顧客数」という「入り口と出…

その収入、何所得?:迷いやすい「所得区分」を見抜くフレームワーク

「副業の広告収入は雑か事業か」 「退職慰労金は給与じゃないの?」 「法人からもらったカネに贈与税は掛からない?」 所得税は 「入口=区分」を間違えた瞬間に、控除も税率も源泉徴収も全部ズレる。 ここでは条文・判例・通達をつないで 最短で区分を決め…

隣地通行権 :「袋地」でも公道にたどり着くための虎の巻

「自分の土地が道路に接していない」「家を建て替えるのに資材搬入ルートがない」 そんな「袋地」オーナーを救済するのが 隣地通行権。 民法の条文(210〜213条)が定める権利だが、実務でつまずきやすいポイントも多い。 裁判例や測量現場での経験を交えつ…

社会福祉法人会計の「附属明細書」

1.そもそも附属明細書って何だ? 社会福祉法人が決算をまとめるときに、財務諸表や注記だけでは書き切れない「深掘り情報」を補完するのが附属明細書。 会計基準第30条や運用上の取扱い第25項で作成義務が定められ、法人の資金使途や資産の裏付けを一覧で開…

アドバンテストの決算書を覗く(2025年3月期反映)

1.株価が連日の高値更新 7 月 3 日の東証プライムでアドバンテスト株が一時 10,630 円まで急伸。 前夜のフィラデルフィア半導体指数(SOX)が 1.9%上昇したうえ、モルガン・スタンレー MUFG 証券が目標株価を 11,800 円へ引き上げた。 この二つのニュース…

川崎重工業の決算書を覗く(2025年3月期反映)

川崎重工業(以下、川重)の株価が盛り上がってきた。 直近では、航空自衛隊の「T4」練習機の墜落事故を受けて整備需要が高まる思惑や、防衛関連需要全般への期待感が強まっている。 PBR(株価純資産倍率)が競合他社よりも低いことで「割安」という声も出て…

社会福祉法人会計における「その他の注記事項」

社会福祉法人が計算関係書類を作成する際には、法人の特性に合わせた独自の注記事項が求められる。 今回取り上げる「その他の注記事項」では、これまで説明してきた項目(関連当事者取引や偶発債務等)以外にも、注記すべき事柄が定められている。 1.法人で…

楽天の決算書を覗く(2025年12月期1Q反映)

楽天グループが2025年度第1四半期の決算を発表した。 電子商取引(EC)と金融事業が引き続き伸長し、携帯電話(モバイル)事業も赤字幅が縮小。 固定資産税を除けばEBITDAの四半期黒字化を達成したというから、いよいよ「通期黒字」の達成も現実味を帯びてき…

オリエンタルランドの決算書を覗く(2025年3月期反映)

世界的な株安ムードが広がるなか、オリエンタルランド(OLC)の株価も4月30日に一時6%超下げ、3千円を割り込んだ。 4月28日に発表した特別優待(通常分に加えパスポート1枚増)ではいったん買いが集まったものの、2026年3月期の減益見通しに失望売りが勝った…

建設業の会計・税務で見落とせないポイント:JVの組成から赤字工事の扱い

「建設業の会計や税務には独特の論点が多い」とよく言われるけど、実際にどんなところが要注意なのかを整理してみる。 とりわけ、ジョイント・ベンチャー(JV)の会計処理や、工事進行基準・完成工事基準の切り分け、はたまた赤字工事や近隣対策費の扱いなど…

社会福祉法人会計における注記:関連当事者取引・偶発債務・後発事象

社会福祉法人では、企業会計と似たような報告が求められている一方、非営利法人としての特性に合わせた独自ルールが存在する。 その中でも「関連当事者との取引」、「重要な偶発債務」、「重要な後発事象」あたりは、会計処理や注記のうえで気をつけるポイン…

消滅時効とは

トランプ政権が打ち出した高関税の応酬が世界の市場を大きく揺るがしている。 米国債に「安全資産」という看板がついていながらも利回りが23年ぶりのペースで急騰するほど不安が広がり、株と債券がそろって大荒れ状態。 各国の市場関係者は混乱の収束を固唾…

良品計画の決算書を覗く(2025年8月期2Q反映)

米トランプ政権の高関税発動をめぐっては、市場の動揺がまだ収まらない。 4月7日以降、米長期金利が23年ぶりの大幅上昇となり、世界同時株安が再度警戒される局面にある。 ダウ平均は先週、過去最大級の乱高下を演じたかと思えば、今週に入っても連日ジェッ…

本船の仕組み:「乗組員の編成」と「船体の構造」をまとめる

船に縁のない陸上の人にとって「本船」とは、港に出入りするあの「大きな船」を指すことが多いが、実際の海事用語では「本船=自分たちが乗っている船」として乗組員が呼ぶこともある。 では本船の仕組みはどうなっているのか。 ここでは二つの観点「乗組員…

coco壱番屋の決算書を覗く(2025年2月期反映)

ここ数日、米トランプ政権の関税強化や米中摩擦の激化を受け、世界の株式市場が荒れている。 4月4日にはNYダウが1日の下げ幅として史上3番目の2231ドル安を記録し、S&P500やナスダックも下落が続く。 日本でも製造業を中心に株価が大きく下げており、特に輸…

店舗の売上効率を見るなら「坪当たり売上高」、営業マンの生産性を見るなら「1人当たり売上高」

売上を伸ばす指標はいろいろあるが、店舗ビジネスや営業組織を管理しているなら「坪当たり売上高」と「営業担当者1人当たり売上高」は外せないKPIだと思う。 なぜかといえば、この2つには「限られたリソースをどれだけ効率よく活用できているか」という視点…

「所得」ってどうやって考える?

「個人が1年で稼いだお金は○○円、つまり所得は○○円」という単純な見方があるけど、実は税法の世界ではもう少し複雑に「本当の所得」を捉えようとする考え方がある。 たとえば、生活費や私的な消費の金額を加味して「この人はどれだけモノやサービスを使って…

建設業の特徴:受注と発注、そして個別原価計算

建設業は、他の産業と比べるとちょっと特殊な取引が多い。 モノを作って売る「製造業」や「卸売業」とは違って、工事という単位で受注から施工、引き渡しまで進める形が一般的だからだ。 ここで押さえるべきキーワードは2つ:受注取引と発注取引だ。 1.建設…

社会福祉法人会計における注記事項

社会福祉法人が財務諸表を作成するとき、貸借対照表や資金収支計算書といった本体だけではなく、注記が必要になる。 注記は会計方針や評価方法、継続事業の前提、会計方針の変更など、計算書類のユーザーが法人の財政状況や経営状況をより正しく理解するため…

失踪宣告:法的には「もう死んだことになる」という制度

普通の感覚だと「行方不明は行方不明であって、まだ生きているかもしれない」。 でも民法には「失踪宣告」という仕組みが存在し、一定の期間が経過すると、その不在者を法律上「死亡した」とみなすことができる。 1.失踪宣告って何のための制度? 失踪宣告…

商船三井の決算書を覗く(2025年3月期3Q反映)

商船三井は明確に報酬制度を拡充する姿勢を打ち出した。 今期(2026年3月期)に役員報酬の水準を引き上げ、株式報酬の比率を20%から35%にアップ。 しかも、重大な不正があれば報酬を返還させる「クローバック条項」も導入する。 そうやってコーポレートガバ…

港湾のしくみを解説:公共埠頭・私設埠頭から出入港手続まで

海と陸を結ぶ要衝として、世界中の港ではさまざまな施設と手続が存在する。 船舶が安全かつ円滑に入港し、人や貨物がスムーズに流れるためにどんな仕組みがあるのか。 ここでは港湾施設の概要と出入港に関わる手続を紹介したい。 1. 港湾施設ってどんなもの…

マーケティングでよく登場する「NPS」と「客単価」、実はこんなに使える指標だった

マーケティングや事業企画でKPI(重要指標)を設定する場面では、NPS(ネット・プロモーター・スコア)と客単価がしばしば登場する。 どちらも売上や利用者満足度を高めるために有効な指標だが、その意味や使い方を改めて整理してみると、思った以上に活用範…

「所得」って、そもそも何?

税法の世界でよく目にする「所得」という言葉。 所得税法は名前に「所得」とまで入っているのに、実は法律の条文を見渡しても明確な定義が書かれていない。 それってどういうこと? そんな疑問に答えてみたい。 1. 「所得」=「収入金額 - 必要経費」 まず…