ogurakaikei’s ブログ

会計・税務及び経済関連(時々雑談)

2023-02-01から1ヶ月間の記事一覧

相続税に係る生命保険金等(3/7)

生命保険契約に係る保険金受取人とは、その保険契約に係る保険約款等の規定に基づいて保険事故の発生により保険金を受け取る権利を有する者(保険契約上の保険金受取人)のことをいいます。被相続人が全額保険料を負担していた生命保険契約で、保険契約上の…

相続税に係る生命保険金等(2/7)

生命保険金等は、生命保険制度を通じて貯蓄の増進を図ること及び被相続人の死亡後における相続人の生活安定等を考慮し、一定の金額を非課税としています。生命保険金等の非課税の対象者、非課税限度額の計算及び非課税金額は、次のとおり規定されています。 …

相続税に係る生命保険金等(1/7)

被相続人の死亡に伴い遺族が受け取った生命保険金等にも相続税は課税されます。保険金は、民法上の相続の効果として取得するのではなく、契約の効果として取得するものであり、民法上の本来の相続財産にはなり得ません。しかし、保険金を取得した人とそうで…

相続税の財産の所在

納税義務者を分類するのは課税される財産の範囲が異なるためですが、制限納税義務者に分類された者については、取得した財産が法施行地(国内)にあるか法施行地外(国外)にあるかにより、課税対象となるか、ならないかが決まります。取得した財産が法施行…

相続税の課税財産の範囲

納税義務者の分類により課税される財産の範囲が異なります。 相続税の課税財産の範囲は、納税義務者の分類に応じて、次の通り定められています。 ①無制限納税義務者(居住無制限納税義務者、非居住無制限納税義務者)⇒取得した全ての財産 ②制限納税義務者(…

相続税の納税義務者

相続税法では納税義務者を5つのグループに分類していますが、この納税義務者の分類が計算のスタートとなります。相続税の納税義務者は、原則として相続又は遺贈(死因贈与を含みます)により財産を取得した個人です。個人である相続税の納税義務者は、次のよ…

相続分(3/3)

相続資格の重複 被相続人が孫を養子としている場合に、被相続人の子が以前死亡しているようなときには、孫は養子としての身分と代襲相続人としての身分を有する二重身分となります。 なお、婿養子である夫が被相続人である場合に、その妻は妻としての相続分…

相続分(2/3)

代襲相続 代襲相続とは、相続開始以前に相続人となるべき者が死亡その他の事由で相続権を失った場合、その者の直系卑属が、その者に代わって同一順位で相続人となり、その者の受けるはずであった相続分を承継する制度です。 代襲相続の要件 ①相続開始以前の…

相続分(1/3)

被相続人の死亡により無条件で権利義務を承継する相続人が数人いるときは、相続財産は共有となります。その後、各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継することとなっています。つまり、相続分とは、各相続人が相続しうる相続財産の割…

相続人

相続人とは、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する者のことをいいます。 被相続人の財産を無償、かつ、無条件で承継する相続人はいくつかのグループに分かれています。相続税では相続人の判定がそのまま納税義務者の判定につながります。 「配偶…

相続税法と民法(3/3)

借金などが多かった場合どうするか 相続は、被相続人の死亡により開始し、被相続人の一切の権利義務を承継させるものですが、必ずしも権利(プラスの財産)だけを相続できるとは限りません。そこで、民法では、相続人が相続財産を承認するか、放棄するかを考…

相続税法と民法(2/3)

遺贈の意義 遺贈とは、遺言により無償で他人に財産を与える行為をいいます。遺贈は、贈与とは異なり、もらう側の意思とは無関係に、あげる側の一方的な遺言により生じます。また、遺贈により財産を取得する者を「受遺者」といいます。 遺言の効力(民985) …

相続税法と民法(1/3)

概要 相続税法では、法1条の2に定められている6項目を除き、所得税法や法人税法のような用語の意義規定が完全には設けられていません。つまり、民法などの他の法令で定められている用語の意義は、その定められている意味で使用することになります。 例えば、…

相続税法に規定する贈与税(2/2)

課税価格の計算 「課税される財産の価額の合計額」-「配偶者控除」-「基礎控除(110万円)」=課税価格 取得財産の価額 「取得財産の価額」=「本来の財産の価額」+「みなし取得財産の価額」-「非課税財産の価額」 「本来の財産」・・・贈与者の土地・建…

相続税法に規定する贈与税(1/2)

概要 相続税は、人が亡くなった場合に、亡くなった人から財産をもらった人が、利益を受けたと考え、税金を納めてもらう国税です。一方、生きている間に財産を移転させた場合に、財産をもらった人に税金を納めてもらう税金が贈与税ということになります。つま…

相続税法に規定する相続税(6/6)

相続税の申告と納付 納付税額が計算された納税義務者は、申告と納付をしなければなりません。 申告期限・・・相続の開始があったことを知った日の翌日から10月以内に申告書を提出しなければなりません。 提出先・・・申告書は、納税地の所轄税務署長へ提出し…

相続税法に規定する相続税(5/6)

納付すべき相続税額の計算 各人の納付すべき相続税額は、各人の算出税額を基礎として、二重課税の調整や各納税義務者の個人的な事情に応じた税負担の調整を行い計算します。 「各人の算出税額」-「税額控除」=「各人の納付すべき相続税額」 各人の納付すべ…

相続税法に規定する相続税(4/6)

相続税額の計算 各人の算出税額の計算は、まず相続税の総額を求め、その相続税の総額をあん分するなどして求めることになります。相続税の課税方式には、被相続人が残した遺産全体に税率を掛けて税額を求める「遺産税方式」と財産を取得した者ごとに取得した…

相続税法に規定する相続税(3/6)

課税価格の計算 相続税の課税価格の計算の流れは以下の通りです。 「取得財産の価額」+「相続時精算課税加算額」-「債務及び葬式費用の金額」+「生前贈与加算額」=「課税価格」 「生前贈与加算額」・・・贈与税は相続税の補完税です。このため単純な税負…

相続税法に規定する相続税(2/6)

相続税の計算の流れ ・相続税の納税義務者・・・被相続人の残した遺産を承継する者は誰であるかの判定を行います。 ・課税価格の計算・・・遺産を承継した者について、課税対象となる財産の計算を行います。 ・納付すべき相続税額の計算・・・遺産を承継した…

相続税法に規定する相続税(1/6)

相続税の概要 相続税とは、被相続人の死亡により、配偶者、子、父、母又は妹などの相続人が無償で承継する財産について課税する税目です。 相続税と贈与税の違い 相続税は、死亡を起因として財産が移転した場合に課されますが、贈与税は、生前に財産が移転し…

中世における朝廷・幕府・大名の経済政策(5/5)

織田信長の経済政策として、「楽市楽座令」と俗称される政策がありますが、戦国大名や織田・豊臣政権が一方で、同一地域の特権商人の「座」を保護していることや、施行対象地が城下町以外に地方市場・寺社町を多く含んでいることが明らかにされ、それは商人…

中世における朝廷・幕府・大名の経済政策(4/5)

1454年の享徳の乱を契機に東国で騒乱が始まり、さらに1467~77(応仁元~文明9)年の応仁・文明の乱で、京都も長期の戦乱に巻き込まれ、戦国時代が到来しました。足利将軍家の権威失墜とともに、各地で戦国大名が覇権を争い、領国(分国)内での自立的な支配…

中世における朝廷・幕府・大名の経済政策(3/5)

鎌倉幕府は1333(元弘3)年に滅亡し、後醍醐天皇による短期間の建武の新政を経て、1336(建武3)年、足利氏が幕府を開き室町幕府が始まりました。皇統が南朝と北朝とに分かれて、それぞれを支持する公家・武力勢力が離合集散を重ねましたが、政権は次第に安定し1…

中世における朝廷・幕府・大名の経済政策(2/5)

治承・寿永の内乱後、1183(寿永2)年に源頼朝が朝廷から東国行政権を委譲されたことを実質として、1192(建久3)年に征夷大将軍に任命され、名実ともに鎌倉幕府が始動しますが、鎌倉時代の支配体制を鎌倉幕府に求めるかどうかは中世国家の性格規定に関わる重要…

中世における朝廷・幕府・大名の経済政策(1/5)

10世紀に入ると在地での荘園の形成に伴う領主的土地所有により、土地公有制は実質的に崩壊し、公有地からの税収に依存してきた律令国家は財政基盤を失い、そのため国家的プロジェクトである造営事業の経費をいかに確保するかが大きな課題となりました。 荘園…

中世における渡来銭の流入と手形の発達(3/3)

中世日本の信用経済の背後には中世社会独特の債権・債務関係が存在していました。中世社会では債権について国家による保証がなく、担保によって保護される要素も限られるため、脆弱であり、債務者の許容する範囲で保護されるに過ぎず、債権者と債務者の共存…

中世における渡来銭の流入と手形の発達(2/3)

11世紀から12世紀中期にかけての商品貨幣の時代は、体積や重量、保存上の問題からの商品貨幣の弱点を補完する目的で信用経済が展開しました。それが支払指図書で、荘園領主が所管の倉や所領にあてて米銭の支払いを命じた書類(切符・米切符)が、別の支払い…