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会計・税務及び経済関連(時々雑談)

相続税法と民法(2/3)

遺贈の意義

遺贈とは、遺言により無償で他人に財産を与える行為をいいます。遺贈は、贈与とは異なり、もらう側の意思とは無関係に、あげる側の一方的な遺言により生じます。また、遺贈により財産を取得する者を「受遺者」といいます。

 

遺言の効力(民985)

遺言は、遺言者の死亡の時から効力が発生します。また、遺言に停止条件を付した場合は、その条件が成就した時から効力が発生することになります。

 

遺贈の放棄(民986)

遺贈は、遺言者の一方的な意思によるものです。したがって、受遺者は、遺言者の死亡後、いつでも、遺贈の放棄をすることができるとされています。なお、いつでも放棄できるという以外、特に規定がないため、遺言により財産を取得したくない場合には、遺贈の放棄をする旨を書面でも口頭でも意思表示すれば済むこととなります。

 

遺贈の種類(民964)

(1)包括遺贈と特定遺贈

遺贈には、包括遺贈と特定遺贈があります。

「包括遺贈」・・・遺贈する財産を一定の割合により包括的に与えることをいいます。包括受贈者は相続人と同一の権利義務を有します。

「特定遺贈」・・・遺贈する財産を具体的に特定し与えることをいいます。その特定財産についてのみ権利を有します。

 

(2)負担付遺贈

特定の積極財産だけでなく、債務(消極財産)の負担も伴う遺贈のことをいいます。負担付遺贈を受けた者については、特定の積極財産から債務(負担額)を控除した残額が遺贈財産となります。

 

死因贈与の意義

死因贈与とは、贈与者の死亡により効力を生ずる贈与のことをいいます。

 

死因贈与の取り扱い

遺贈に関する規定に従い、相続開始時の価額で相続税が課税されます。つまり、贈与者が死亡しないと財産を取得することができないことから、相続税の課税対象としています。

 

遺贈と贈与の相違点

「遺贈」も「贈与」も財産の無償移転という点では同じですが、次の点で異なります。

「遺贈」・・・受贈者の意思に関係なく、贈与者が一方的に意思を示せば(単独行為)行うことができます。

「贈与」・・・贈与者と受贈者との双方の合意により成立する契約となっています。

相続税法民法(2/3)に続きます。