ogurakaikei’s ブログ

会計・税務及び経済関連(時々雑談)

東京きらぼしフィナンシャルグループの決算書を覗く

最近、日銀の利上げがいつかいつかと言われる中、「UI銀行が1年物定期預金の店頭金利を年1%まで大幅に引き上げる」というニュースが飛び込んできた。

 

日銀の追加利上げをにらみ、週内にも適用金利を0.45%上乗せして一気に1%台に乗せる方針らしい。

 

これまでネット銀行でも0.8~0.85%あたりが最高水準だったのを上回り、現時点で国内銀行の1年物定期としては最も高い水準になる見通しだ。

 

UI銀行は、東京きらぼしFGの傘下にあり、まだ開業から2年余りの「若い」ネット専業銀行。

 

ただ、すでに大都市圏以外も含め全国の個人顧客を着実に取り込み、預金残高は2024年3月末時点で4,000億円超まで増加している。


今回の金利引き上げは、預金を集めた資金を住宅ローンや投資用アパートローンなどに回しつつ、グループ内のきらぼし銀行と差別化を図る戦略の一環と言えそうだ。

 

ネット特化型らしい攻めの手法がどこまで拡大するか、気になるところである。

 


■東京きらぼしフィナンシャルグループの成り立ち

きらぼしFGは2018年5月に誕生し、旧・東京都民銀行と旧・八千代銀行、そして新銀行東京の流れをくむきらぼし銀行を中核とする持株会社だ。

 

さらに2022年にはネット専業としてUI銀行を新設し、リースや証券など関連子会社を数多く擁している。


都内が主要地盤の地銀グループながら、デジタル戦略や若年層・全国顧客向け施策に力を入れており、「リアル店舗×ネット銀行」の両輪で収益源の多角化を進めている。沿革をざっくりまとめるとこんな流れだ。

  • 2013年頃、旧都民銀と旧八千代銀が経営統合を基本合意
  • 2018年5月、「東京きらぼしフィナンシャルグループ」発足、きらぼし銀行が誕生
  • 2022年1月、グループ内にネット専門のUI銀行を開業

「地域に寄り添う」と「デジタルで新機軸」を同時に追求する姿勢が特徴的だ。

 


■2025年3月期 第2四半期決算のポイント

2024年4~9月期の連結業績は、グループ全体(FG連結)で以下のとおり。

  • 経常利益:190億円(前年同期比で+7億円)
  • 親会社株主に帰属する中間純利益:129億円(同▲5億円)

中核のきらぼし銀行単体は、

  • 経常利益:188億円(同▲33億円)
  • 中間純利益:131億円(同▲44億円)

前年同期には、関連会社からの特別配当金などの「特殊要因」があったため、表面上は減益に見えても実質的には横ばいかやや減少程度で落ち着いている印象だ。


実際、貸出金利息は前年同期比で+16億円、預貸金利回り差も1.35%へと伸びており、事業性ファイナンスや個人取引の拡大は続いている。

 

だが、法人役務収益が前期の反動で減少したほか、外貨調達コストや事務委託費などの経費が増加し、その分を打ち消した格好だ。

 

■中期計画と収益の分散

きらぼし銀行に利益が集中する構造を変えようと、FG傘下のリース・証券・コンサル・テク系子会社などでソリューション提供を広げようとしている。

 

UI銀行も含めた「グループ全体の稼ぐ力」を育てる方針だが、現状はまだ銀行単体への依存度が大きい状況といえる。


一方で役務収益やデジタル事業が今後どこまで伸びるか、注目したいところだ。

 


■2024年3月期の好調実績

前期(2024年3月期)は連結純利益256億円(前年211億円→+45億円)と大きく伸ばした。

 

銀行単体でも303億円(前年274億円→+28億円)だったが、こちらも前期は関連会社配当金など「特殊要因」を含むものの、貸出金残高の順調な増加や利回り上昇が収益拡大を後押しした。

 

■配当

3期連続の増配を実施し、2024年3月期は1株当たり145円(前期比+30円)。

 

続く2025年3月期も150円の予想を掲げている。

 

自己資本比率は8.5%前後(連結)と安定感も増しており、引き続き配当を通じた株主還元に意欲的な印象がある。

 


■UI銀行が仕掛ける高金利定期で個人顧客を取り込む

冒頭で触れたように、UI銀行の「定期預金金利1%」への引き上げは衝撃的といえる。


これが実現すればオリックス銀行やソニー銀行の0.85~0.8%水準をしのぎ、1年物定期としては国内最高金利になりそうだ。

 

無店舗・ネット特化だからこその利ざや重視、そして早期の顧客獲得を優先する戦略が透けて見える。

 

実際、24年3月末時点でUI銀行の預金残高は4,034億円、口座数も10万件を超えてきた。

 

若年層など首都圏以外からも取り込む形で成長を図っており、こうした高金利施策によってさらに知名度アップが期待できるだろう。

 


■まとめ

東京きらぼしFGは、都市型地銀のメイン銀行(きらぼし銀行)に加え、ネット専業のUI銀行やリース・証券といった周辺事業を含む総合金融グループへと進化を図っている。


最新の2025年3月期第2四半期決算は特殊要因の剥落による表面上の減益が目立つが、貸出金や利回り差はなお好調で、実質的にはほぼ堅調と言える。

 

UI銀行の大胆な高金利施策は、日銀の利上げ観測と相まって世間の注目度も高い。


今後は集めた預金をどのように貸し出しへ回し、利ざやを稼ぐかがポイントになるだろう。

 

配当も着実に増配を続け、従来の地域銀行の枠を超えた「地銀×ネット銀行」のハイブリッドモデルの行方がますます楽しみだ。