PayPayでは、積極的な広告宣伝活動及び高度なスキルを有する人材の獲得を通じて、後発ながら日本においてはQRコード決済事業におけるリーディングカンパニーの地位を築いたわけでありますが、冒頭に記載の通り大幅な損失が連続して発生している状況であり、仮に収支改善のため広告宣伝活動を縮小した場合に一定程度のユーザー及び加盟店の離反が想定され、一方で人件費等の支出は高止まりもしくは増加している中で、黒字化することには相当程度のハードルがあると判断せざるを得ません。また、クレジットカード等競合する他の決済手段との差別化から、加盟店手数料を簡単に上げることも現実的には難しく、PayPayでは加盟店手数料の全面有料化が2021年10月から実施されてはいるものの、2022年3月期は加盟店手数料以上の還元を加盟店に実施するなどして加盟店の離反を防いでいる状況から見ても明らかです。
現代日本企業の事例分析(7/11)に続きます。
参考文献は以下の通りです。
・深化する日本の経営（千倉書房）
・PayPay株式会社プレスリリース
