ogurakaikei’s ブログ

会計・税務及び経済関連(時々雑談)

18世紀における貨幣改鋳と幕府の経済政策(2/2)

金属貨幣としての銀貨が減少しても、基準貨幣として銀目が継続した背景には、銀目単位の貨幣として藩札・私札・手形などが通用したことがありました。手形は、両替商システムの整備とともに発行されて流通するに至り、私札は、近世初頭から一定の地域内で流通した信用貨幣として発行されました。伊勢外宮の神職を兼ね、商人でもあった山田御師が発行し、商業手形から紙幣へ展開した山田羽書が私札の代表例です。山田羽書は、神札の形態を模倣して宗教的権威とつなげて信用力を高め、紙を貨幣として利用することを普及させました。そして定型化・定額化を通じて紙幣の交換手段としての認証性や流通性を大きく高め、金額単位として、金貨では流通するのに単位が高額すぎ、銭貨は価値が不安定なため、銀建てで銀1匁以下の少額額面が選ばれました。

参考文献

・日本経済の歴史(名古屋大学出版会)