ogurakaikei’s ブログ

会計・税務及び経済関連(時々雑談)

会計の歴史的な変遷(3/5)

 期間計算における利益の捉え方についても、歴史的な変遷が存在します。現在では資本と経営の分離についての意識は常識となっているところであり、経営者には株主への説明責任やコーポレートガバナンスが責務となっていることは浸透しているものの、過去は株主=経営者であり開示上留意すべき対象は、債権者のみでありました。これは、現代においての非上場でかつ株式をオーナー一族で所有している、いわゆるオーナー企業を想定すると分かりやすいです。例えばオーナー企業を被監査会社として場合、会計監査人からの勘定科目の選択や注記の文言等に係る細かな指摘について、「銀行しか見ない開示書類にそこまでこだわる必要があるのか」といった会計監査人の立場からすると到底承服出来ないコメントが企業側から時として発せられることがありますが、これは当該事項を如実に表しているといえます。つまり、開示すべき対象は、主に債権者であり債権者の検討に値する事項の開示をすることに重きが置かれていました。債権者の最大の関心事は、今も昔も当然に貸したお金が返ってくるかということであり、企業の債務弁済能力を示す財産がどれだけあるか、著増減はあるかという事に短期的には終始します。ここで、どれだけ資本(純資産)が増加したのか、といういわばストックの面から利益を認識する財産法と、換金価値のあるもののみを資産ととらえる静態論による会計が求められていました。

 

次回は、動態論への変遷について記載します。