ogurakaikei’s ブログ

会計・税務及び経済関連(時々雑談)

会計の歴史的な変遷(5/5)

 一方で近年では、国際会計基準IFRS)の概念フレームワークからも明らかなとおり、収益費用アプローチから資産負債アプローチへの移行が見てとれ、上述した動態論から静態論へ回帰している面もみられます。資産負債アプローチとは、資産と負債を中心的な基本概念として位置づけ、両者の差額として導き出される純資産額の期中変化分が利益であると考えるアプローチ方法であり、損益計算書は資本(純資産)の変動原因を示すものとして位置づけられます。現代では、投下資本の回収計算によって利益を獲得するだけでなく、高度に発展した金融市場のもとで、企業が保有する金融資産及び金融負債の公正価値(時価)の変動によって利益を獲得することが可能となっており、当該点を考慮するためには、資産負債アプローチの考え方が必要となっているのであります。日本企業が、国際会計基準IFRS)の導入をするにあたっては、特に公正価値の点がGAAP差として認識されるところではありますが、日本基準についても直近での時価算定基準の導入等、確実に国際会計基準IFRS)に準拠してきているのは間違いなく、その結果として日本基準においても資産負債アプローチの考え方を取り入れてきているといえます。

 以上のように各時代における会計に求められる役割に応じて、会計は変化してきており、今後も産業構造の変化やAIをはじめとする様々な社会のイノベーションに応じて、会計は変化をし続けることが想定されます。現在の会計基準設定主体である国際会計基準審議会IFRS)や企業会計基準委員会(日本基準)についても、その形態、役割を変えるかもしれません。つまり、社会が変化をし続ける限り、会計基準の設計にも終わりはないということが言えます。