赤字体質の課題を解消するには、国内市場においてある地位を築いた今、より多くの顧客を獲得するために、海外市場への拡大を図ることが求められます。グローバル展開する目的は、第1に規模の経済性の追求です。大規模な市場を獲得することにより、生産規模の拡大を可能とし、それによって得られる利得が挙げられます。第2にグローバルな視点で最も良い生産要素を選択することができます。選択肢を広げることにより、より良い技術、より安い人材を選ぶことができます。第3に多様性の中でより多くのことを学習できることが挙げられます。国内だけではなく、グローバルに展開することで、多様な文化や価値が共存することとなります。そのため、コスト削減だけではなく、新たな価値を育むことができます。第4に世界規模でサービスを展開することにより、各国が直面する環境上のリスクを分散することができます。例えば日本の少子高齢化のようにそれぞれの国々には固有のリスクが存在します。グローバルに展開することにより、一国が直面するリスクを限定的に捉えることができます。企業の存続をはかるためには、このようなリスクへの対応は欠かせません。
現代日本企業の事例分析(10/11)に続きます。
参考文献は以下の通りです。
・深化する日本の経営(千倉書房)
・PayPay株式会社プレスリリース