先日、ジャパネットたかたで炊飯器を購入した際に、最近の売れ筋炊飯器やその機能を色々と見ていたのであるが、最近の炊飯器には各社の、なんと様々なこだわりが詰まっているのかと驚いた。
ただ、こだわりが多岐にわたっていて、正直、どの商品説明を見ても、「これ以上ないくらい、美味しいご飯が炊けます」というメッセージとしか、結局のところ読み取れず、価額もかなり高価額帯の物が多い。
こういう時は、今話題のChatGPTに聞いてみようということで、早速「一番おいしく炊ける炊飯器は?」と問いかけたところ、お決まりのディスクレーマーコメントである「好みや使い方によって異なりますが・・・」という文言の後に一番最初に上がってきたのが象印の炊飯器であった。
ネット上での商品レビューサイトも覗いて見たが、やはり一番評価されているのは象印の商品であった。
そこで、ジャパネットたかたの商品ラインナップで、象印の炊飯器があることを確認し、購入手続に進もうと商品をクリックした次の瞬間、「売り切れ」の文字が表示された。
他の商品は、全部在庫があるのに、象印だけ売り切れであった。。。
奇しくも、象印の炊飯器が人気商品である事は、端的に確認することが出来たのであった。。。
新たに炊飯器を購入した際には、古い炊飯器を持って行って欲しいので、ジャパネットたかたで購入したかった事と、
象印の商品が再び出てくるその日まで、サイトを毎日チェックするほどのモチベーションが無かったこと、
そしてそもそも、そこまで味覚に自信がないということもあり、
結局、同じような機能があるように見えた、日立の炊飯器の購入に落ち着いたわけではあるが、何となく象印の炊飯器が気になる毎日。
象印の商品は、魔法瓶や電気ポットを子供の頃から使用しているし、ここ数年は加湿器を大変重宝している。
乾燥肌であることもあり、冬場はこの加湿器がないと、肌がかゆいを通り越して痛くなってしまう。
象印の加湿器は、それなりに値段が高いものの、もはや自分にとって完全に必需品で、これまで複数台、購入しており、自宅にも事務所にも常備している。
事務所では、職員からも好評であり、本音を言えばクライアント先に長時間いる場合には、加湿器を持って行きたいくらいである。
そんな、日頃からお世話になっている象印ブランドを展開する、象印マホービン株式会社の有価証券報告書を覗いてみたいと思う。
象印の歴史は古く、1918年に「市川兄弟商会」が創立された後、1948年に法人が設立されている。
法人設立前から、マホービンの製造販売をしており、社名にも「マホービン」の名称が入っていることでも明らかではあるが、象印にとってマホービンという商品の特別さが分かる。
そして、1986年に上場。
その後は、海外展開や商品の幅を広げて現在に至る。
創業100年を超える、歴史ある企業である。
セグメントは、基本的には家庭用品の製造販売ということで、単一セグメントである。
なお、海外の売上を伸ばしていく計画もあることから、将来的には地域別にセグメントを区分することも想定される。
売上の推移を見ると、2019年11月期、2020年11月期で減少し、その後回復傾向にあることが分かる。
もう少し、詳細に見るために、製品区分別の売上推移を見ていく。
製品区分別に見ると、最も売上規模の大きい「調理家電製品」の売上は緩やかに増加傾向にあるものの、「リビング製品」の売上減少が見られる。
なお、「リビング製品」と言われても何の事だか分からないので、象印の製品区分の内訳を2022年11月期で見てみる。
なるほど、炊飯器や電気ポットを含む「調理家電製品」は好調な一方で、主にマホービンを含む「リビング製品」が苦戦していることが分かる。
ちなみに、自分の生活必需品である加湿器が含まれる「生活家電」は、売上規模は小さいものの増加傾向である。
(2019年11月期)
2019年11月期には、天候不順の影響もあり、マホービン市場が縮小しているとのコメント。
(2020年11月期)
2020年11月期は、コロナ影響でレジャーやスポーツ活動が制限されたことによる、マホービン市場のさらなる縮小とのコメント。
確かに、家でマホービンを使う人は、あまりいないであろうから、外出自粛の中でマホービンの需要が減ったことには納得感はある。
(2021年11月期)
なお、2021年11月期からは、新しい機能である「せん」と「パッキン」がひとつになった「シームレスせん」を採用したマホービンの販売好調を受けて、売上は回復傾向にある。
やはり、マホービンでは負けられないという象印の意地があるのであろう。
一方で、炊飯器を含む「調理家電製品」は、コロナ渦においても好調を維持しており、新しい商品ラインナップとして「オーブンレンジ」を展開するなど、今後の伸びも期待される。
コロナ渦でむしろ、お家時間が増えたことによる需要もあるのであろう。
利益側も見てみる。
2019年11月期と2020年11月期の経常利益の減少は、売上の減少と同じくマホービンを含む「リビング製品」の販売不振の影響が出ている。
2021年11月期は、「リビング製品」の販売回復に加え、高付加価値商品を中心とした売上高の増加影響も加わり、経常利益を大きく回復させている。
確かに、象印の最上級モデルの炊飯器である「炎舞炊き」シリーズは高いでからね。。。
でも高くても売れる製品というのは、値段相応の価値が消費者から認められている証拠であり、企業にとって、とても重要である。
一方で、2022年11月期は、2021年11月期と比して売上が回復しているにも関わらず、経常利益が大きく減少しているように見受けられる。
なぜだろうか。
(2022年11月期)
要因としては、為替影響が大きいように見える。
象印の場合は、海外での販売もしているものの(円安はプラス影響)、一方で海外工場で商品の製造もしており(円安はマイナス影響)、結果的に円安の影響としては、マイナス影響の方が強かったということだろう。
為替の極端な乱高下は、企業業績を大きく変えてしまうため、特にこうしたマイナス影響を目の当たりにすると、やはり為替相場の安定が望まれると改めて感じる。
そして、もう一つ象印の決算数値の傾向として面白いのが、第一四半期である12月~2月に売上が集中していることである。
「製品の特性や国内外の商戦期等の関係上」ということであるが、家電製品等は、新生活で購入する場合が多く、その需要に備えて3月より前の時点で量販店への出荷が集中するということだろうか。
後は、加湿器や電子ポットは、確かに寒い時期の方が需要はあるのであろう。
(2023年11月期_業績予想)
2023年11月期においても、前期比で増収増益を計画しており、前述した新しい商品ラインナップとして展開している「オーブンレンジ」が計画達成のカギとなっているように見受けられる。
(第2四半期_2023年5月期実績)
第2四半期である2023年5月期の実績を見ると、「オーブンレンジ」の販売は堅調であることが確認出来る。
後は、為替影響がどうなるかという点が問題になるのだろうと思うが、こればかりはもう「神のみぞ知る」というところで何とも言えないところではあるが、ここから円高に大きく振れるということはあまり想定されないので、リスクとしては残存するのだろう。
象印の炊飯器を購入出来なかった自分であるが、なんと象印は「象印食堂」や「象印銀白弁当」、「象印銀白おにぎり」を展開している事を始めて知った。
これで、象印の炊飯器を買い損ねた自分も、象印の炊飯器で炊いたご飯を、食べることが出来るではないか。
「象印食堂」は、東京だとKITTE丸の内にあるらしい。
横浜を拠点にする自分にとって、そんなに近いというわけではないが、次に炊飯器を買い替えるその日まで、「象印食堂」にお邪魔することにしよう。
きっと、冬場の店内は象印の加湿器で、湿度コントロールが万全にされている事だろう。