ogurakaikei’s ブログ

会計・税務及び経済関連(時々雑談)

ゼンショーの決算書を覗く

先日、田町の「ロッテリア」が、「ゼッテリア」に看板を変えてオープンしたというニュースを見た。

 

ちなみに、「ゼッテリア」の「ゼ」は、「絶品バーガー」の「ゼ」とのことである。

 

いやしかし、「ゼッテリア」の「ゼ」は、「ゼンショー」の「ゼ」じゃないのか!?とも思ってしまうのだが(;^_^A

 

 

確かに、このようにゼンショーが展開するブランドを見ると、「ロッテリア」だけやっぱり違和感があるのも事実ではある。

 

 

「ロッテリア」は、2023年4月1日付で、ロッテからゼンショーに株式譲渡がされている。

 

 

なお、買収金額は、残念ながら非開示となっているが、相応の金額であることが想定される。

 

「ロッテリア」という知名度のあるネーミングを変えることには、惜しい気持ちもある一方、どうしても「ロッテ」を連想してしまうため、このまま「ロッテリア」の名称で、「ロッテ」の宣伝をし続けるというのも現実的には難しいのであろう。

 

それにしても、ゼンショーが展開するブランドは、一つ一つが生活に馴染みのあるものばかりで、凄い会社だなと率直に思う。

 

1年間、ゼンショーの店舗でしか食事をしてはいけないと言われても、特に苦ではないのではないだろうか。

 

牛丼、ハンバーガー、ステーキ、パスタ、お寿司、和食、うどん、焼肉・・・もうなんでもある。

 

中華がないのかな!?

 

ラーメンはあるけど。

 

きっと、これからも「すき家」を軸にしながら、国内外に拡大していくのだろう。

 

そんな「すき家」を始め直近では「ゼッテリア」を展開している、株式会社ゼンショーホールディングスの有価証券報告書を覗いてみたいと思う。

 

 

ゼンショーの設立は、1982年。

 

同年に、すき家の1号店も誕生している。

 

1999年に上場を果たしているが、今のゼンショーの勢いを考えると、意外と設立から上場まで年数が経っていたんだなと感じる。

 

 

ゼンショーのセグメントは、比較的シンプルで外食店舗を展開する「外食事業」と、スーパーマーケットを展開する「小売事業」の2つ。

 

 

売上の推移を見ると、「外食事業」が売上の大半を占めている。

 

もう少し詳細に見るために、カテゴリー別で売上を見ていく。

 

 

やはり、すき家を含む「牛丼」が強い。

 

その次が、2024年3月期からはロッテリア&ゼッテリアが含まれる「ファストフード」。

 

ちなみに、この「ファストフード」の区分には、「はま寿司」が含まれている模様。

 

お寿司が「ファストフード」かと思ってしまったが、このカテゴリーだとまあ「ファストフード」に入れるしかないのかもしれない。

 

確かに回転寿司は、すぐに出てくるしね。

 

というか、頼む前からレーンにお寿司が回っているか。

 

(2021年3月期)

 

2021年3月期は、やはりコロナ影響で全体的に厳しい状況が見て取れる。

 

2022年3月期以降の売上は、コロナ影響からの回復が見られるが、利益の方はどうであろうか。

 

 

(2022年3月期)

 

利益で見ると、2022年3月期も厳しい業績となっている。

 

これは、「世界的なエネルギー・原材料価格の高騰」が原因であり、売上は回復してきてはいるが、今度は原価がそれ以上に上がってしまい利益は減少してしまっている状況。

 

(2023年3月期)

 

なお、2023年3月期では、さらなる売上の回復に加え、コロナ渦における原価改善の努力の効果が出てきており、「外食事業」のセグメント利益はコロナ前を上回っている。

 

また、特に海外での新規出店も進んでおり、これも増収増益の原動力になっている。

 

(2023年3月期_実績)

 

 

特に「米州」での売上高の伸びが顕著であるが、これは現地で展開しているテイクアウト寿司チェーンが好調である事が要因とのことで、日本食ブームとよく言われるが確かにと感じさせられるデータである。

 

一方で「小売事業」のセグメント利益の連続赤字が気になるのだが、有価証券報告書上ではその理由等には特に触れられていない。

 

(2023年3月期)

 

全体に占める割合が小さいので、そこまでインパクトはないものの、2期連続でセグメント利益が赤字ということで、恐らく株主からのプレッシャーも出てくると想定される。

 

その結果、今後事業を切り離す等、リストラクチャリングが行われる可能性があるのではないかと感じた。

 

もしそうでなければ、もう少し説明をした方が良いかと。。。

 

(2024年3月期_計画)

 

2024年3月期も継続して、増収増益を見込んでおり、ここにはやはり買収したロッテリアの効果も見込まれている。

 

(2024年3月期_売上計画)

 

カテゴリー別の計画で見ると、ロッテリアを含むファストフードの伸びが+25.1%と顕著である。

 

(2024年3月期_計画)

 

そして、海外展開も継続して積極的に実施することが確認出来る。

 

 

牛丼やお寿司など、世界に通用する武器をたくさん持っているゼンショーであるから、この戦略は間違いないであろう。

 

(2023年6月期_第1四半期 売上実績)

 

実際に、2023年6月期_第1四半期では、ファストフードを筆頭に順調な業績が見て取れる。

 

新規出店がさらに進めば、年間の計画も十分に射程圏内であるだろう。

 

ロッテリアは、自分もこれまで利用してきたし、マックや他のファストフードとも違った魅力があると思うので、今後も名称が変わったとしても是非発展していって欲しい。

 

まだ、「ゼッテリア」の響きには違和感があるのも事実ではあるが、これも時間が経てば馴染んでくるものだ。

 

いつか自分に孫が出来たら、「昔はロッテリアって言ったんだよ。」と教えてあげよう。