ogurakaikei’s ブログ

会計・税務及び経済関連(時々雑談)

日産の決算書を覗く

楽天を憂いながらKDDI、そしてトヨタの決算書を覗いてきたわけだが、せっかく自動車製造業のトヨタを見たので、同業で横浜に本社を置く日産も見てみようと思った。

 

日産は、本社のある横浜に「NISSAN GALLERY」を展開しており、無料で日産の最新モデルに触れることが出来る。

 

横浜駅からアクセスも良く、とてもキレイで外が暑くても寒くても、空調管理がバッチリされている過ごしやすい空間で、様々な日産の車に自由に触れることが出来る。

 

こんな素晴らしい場所なので、ギャラリーにはたくさんの来場者がいるものの、とても広いので、そんなに混雑していると感じたこともない。

 

これが、無料とは本当に有難いと地元であることもあり、度々お邪魔させて頂いている。

 

中には、スタバもあり普通に何時間いても飽きることはない。

 

そんなこともあり、日産には親しみがとてもあり、またこのような素晴らしいギャラリーを展開している日産の業績はきっと好調なのではないかとの思いを持ちつつ、日産自動車株式会社の有価証券報告書を覗いてみようと思う。

 

 

日産の設立は1933年であり、トヨタが豊田自動織機製作所内で自動車の研究を開始した年と同じである。

 

横浜が誇る、歴史ある会社である。

 

 

日産のセグメントもまた、基本的にはトヨタと同じであり、自動車の製造及び販売を行う「自動車事業」と、自動車販売に付随する金融サービスを展開する「金融事業」となっている。

 

 

売上高の推移を見ると、「自動車事業」の2020年3月期~2022年3月期までの顕著な落ち込みが見られる。

 

2023年3月期においても、2019年3月期の約9割の回復にとどまっている。

 

要因は恐らくコロナ影響であろうという想定の下、販売台数を見てみる。

 

 

基本的には、売上の推移と整合しているが、2023年3月期は販売台数の回復が6割程度なのに比して、前述の通り売上の回復は9割と両者には乖離が見られる。

 

 

販売台数の推移を地域別に見ると、「北米」が販売台数の大半を占めており、その「北米」で大きく販売台数を落としていることが分かる。

 

セグメント利益も見てみよう。

 

 

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販売台数をこれだけ落としているので、何となく予想はしていたが、2020年3月期~2022年3月期まで「自動車事業」は連続赤字。

 

売上の落ち込みで、固定費を回収出来なかったということであろう。

 

底堅い「販売金融事業」のお陰で、2022年3月期はなんとか合計で黒字になっている状況。

 

こんな大変な状況で、あんなステキなギャラリーを無料で運営していてくれたんですね。。。

 

間違いなくコロナ影響であると想定されるが、2020年3月期~2022年3月期までの落ち込み要因を販売台数の大半を占めている「北米」と売上地域2位の「日本」で見ていく。

 

(地域別売上)

 

(2020年3月期)

 

2020年3月期で早速、出てきました「新型コロナウィルス感染症の影響」。

 

(2021年3月期)

 

2021年3月期は、「コロナ」、「コロナ」、「コロナ」の大合唱。

 

(2022年3月期)

 

2022年3月期は、半導体の供給不足。

 

なかなか、苦しい状況が2022年3月期まで続いていたことが分かる。

 

救いなのは、2023年3月期は、販売台数の回復の兆しが見られたことであろう。

 

 

そして、良い傾向としては、前述の通り販売台数の回復がコロナ前の6割程度であるのに比して、売上は9割程度まで回復している点である。

 

要因としては、販売価格の改定(値上げ)と共に、販売奨励金を抑えた結果売上からの控除額が減ったことがあげられるらしい。

 

(2023年3月期)

 

なお、販売奨励金は、実質的な値引きと同様ということで、会計上の収益認識にあたって、売上高から控除がされる。

 

 

したがって、販売奨励金が前期比で減れば、結果として売上が前期比で増加するということである。

 

そして、「自動車事業」のセグメント利益が、2023年3月期に黒字転換したことも良い兆しと言って良いであろう。

 

要因としては、前述の売上要因の他に、トヨタと同様の円安に伴う為替要因が存在する。

 

(2023年3月期)

 

なお、販売台数は依然としてコロナ前の6割程度の回復であるため、そこはむしろ今後の伸びしろとして、2024年3月期も見込んでいるようである。

 

(2024年3月期見通し)

 

実際に、2023年6月期(第1四半期)では、順調な販売台数の回復が見受けられる。

 

(2023年6月期(第1四半期))

 

結果として、2024年3月期の見通しを、即座に上方修正しており、良い傾向であることに安心した。

 

 

そして、自動車製造業と言えば、注視すべき点は設備投資が多額に必要という点である。

 

トヨタの年間3兆円超えには、心底驚いたものであるが、日産はどうであろうか。

 

 

トヨタの数字を見た後だと、「なんだ3,000億円~5,000億円か」と思ってしまうから不思議なものである。

 

 

しかし、売上に対する設備投資割合で見ると、4~5%程度は投資しており、本業である「自動車事業」のセグメント利益が3期連続して赤字であったことを鑑みれば、日産にとって決して少額ではないだろう。

 

ここから、販売台数が回復して「自動車事業」の業績がもっと良くなれば、さらなる投資をして横浜を、そして日本を盛り上げてくれることであろう。

 

特に「NISSAN GALLERY」は、引き続き何卒、運営し続けて欲しい。

 

日産は、電気自動車と自動運転の分野で日本の先頭を走っている。

 

今後、日産の車が買えるか分からないけれど、カーシェアの契約を復活させたら、是非日産の電気自動車を借りてみたい。

 

ただ、カーシェアの車は、ハイブリッド車が多かったな。

 

恐らく、充電設備と車両価額の問題だろうが、この辺りは自分がカーシェアの契約を解約してから数年間で変化があっただろうか。

 

もちろん、自動運転の機能が付いていれば最高だ。

 

今度、確認してみよう。