ogurakaikei’s ブログ

会計・税務及び経済関連(時々雑談)

(楽天を憂いながら)トヨタの決算書を覗く

楽天の「モバイル事業」の行く末を憂いながら、KDDIの決算書を覗きその安定した業績と、継続的な多額の設備投資額に驚いた。

 

そんな中、トヨタの2023年6月期(第1四半期)の好調な決算情報を耳にし、同時にKDDIの大株主であることを認識した。

 

楽天に今必要なのは、何よりも「モバイル事業」の継続のための設備投資にかかる莫大な資金力であり、数百億円規模の単発の融資ではもはや意味がない。

 

三木谷会長は、「リスクがあってもやり切る。」と依然として強気の姿勢であるものの、現実的にこのままの状況では資金繰りに行き詰まり、KDDIに事業売却というのが一番可能性が高いシナリオだと個人的には感じている。

 

出来れば、トヨタクラスの規模の会社と共同で事業を運営し、資金繰りに四苦八苦することなく存分に大手キャリアの寡占状態に風穴を空けるべく邁進して欲しい。

 

そんな個人的な思いも込めて、トヨタ自動車株式会社の決算書を覗く。

 

 

これまた、有名な話ではあるが、トヨタは豊田自動織機製作所内で創業者の長男であった豊田喜一郎氏が自動車開発を行い現在に至っている。

 

豊田喜一郎氏の自動車開発への情熱が無ければ、日本の自動車製造業は今どうなっていたのであろうか。

 

 

トヨタのセグメントは、自動車の製造販売を行う「自動車セグメント」、主に車両販売、リースに係る「金融セグメント」、そしてKDDIの大株主だけあって情報通信事業として「その他セグメント」を認識している。

 

 

そうです、自動運転含め、車と通信の融合は今後もさらに必要となるはずである。

 

不可欠と言ってもよい。

 

なお、2023年7月には、KDDIの株式の一部(2.97%)をトヨタが売却する事が、発表されている。

 

売却理由としては、「売却資金を自動車の電動化に充てる」ということらしい。

 

持ち合い株を売却して設備投資資金を確保している中で、楽天モバイルに出資ということは現実的には難しいのかもしれないと、この時点で若干心が折れかかったのは事実であるが、諦めず見ていこう。

 

 

売上、営業利益共に、メインはやはり圧倒的に「自動車」である。

 

2021年3月期の「自動車」の業績下落が見受けられるが、コロナ影響による工場の稼働停止、販売店の営業停止の影響と考えて良いであろう。

 

(2021年3月期)

 

その後2022年3月期、2023年3月期で「自動車」が急回復しているが、これには既に周知の事実であるが円安に伴う為替影響が多分に含まれている。

 

 

やはり、世界各国に製品を輸出している企業であるので、円安であれば大きく業績に好影響を与える。(逆に円高になれば、業績に悪影響を及ぼす。)

 

(2022年3月期)

 

(2023年3月期)

なんと、2023年3月期の営業利益に与える為替変動の影響は、1兆2,800億円!!

 

為替変動の影響が無ければ、前年比△1兆5,506億円。

 

為替変動のプラス影響を、資材高騰等のマイナス影響で完全に食いつぶして、足が出てしまっている状況。

 

(2023年3月期)

 

ただ、仮に前年比△1兆5,506億円したとしても、約1兆5,000億円くらいの営業利益が確保出来るわけで、凄い会社には違いないが。

 

為替変動の影響ありきの業種であることは、理解出来るのであるが、為替影響を入れると、実際に車が売れているのかどうかがよく分からないので、販売台数の推移を見てみる。

 

 

地域別内訳は、こちら。

 

全体で見ると、販売台数は98%まで回復しているのであるが、販売台数上位2地域の「北米」と「日本」ではまだ90%程度であることが分かる。

 

この点においては、裏を返せばまだ伸びしろがあるということにもなる。

 

実際に2023年6月期(第1四半期)において、「北米」と「日本」の販売台数は、前年同期比で増加が見られる。

 

 

そして、その影響は営業利益の前年同期比増加にもつながっている。

 

(2023年6月期(第1四半期))

これが、話題の四半期で営業利益1兆円超えの内訳である。

 

円安が進んでおり、為替変動の影響はありつつも、販売台数の増加が営業利益の増加に結び付いていることが分かる。

 

(2024年3月期見通し)

 

2024年3月期見通しを鑑みても、順調な第1四半期の業績と言って良いのではないだろうか。

 

しかも、2024年3月期見通しでは1ドル125円想定と、足下の為替相場を鑑みるにやや保守的と考えられる点も存在する。

 

ほぼ間違いなく、2024年3月期は2023年3月期を上回る業績を達成出来るのではないだろうか。

 

これだけ売上が上がって、利益が出ていれば「楽天モバイル」の支援をお願い出来ないでしょうか。

 

と思ってしまうのであるが、トヨタのKDDI株式の一部売却の要因は設備投資資金の確保である。

 

確かに、自動車製造業の設備投資額がとてつもなく巨額であろうことは、想像に難くない。

 

(※リース用資産を含む)

 

KDDI、楽天の年間5,000億円~6,000億円の投資がかわいく見える、脅威の年間3兆5,000億円超え。

 

0が一つ多いかと思ったが、間違ってはいないようである。

 

 

売上に対する設備投資割合は、10%前後。

 

ここは、KDDIの売上に対する設備投資割合と同水準である。

 

どうでしょうトヨタさん、ここに年間2,000億円~3,000億円くらい加わっても、大勢に影響ないのではないでしょうか。

 

とは、もちろん簡単にいかないくらい、やはり自動車製造業も設備投資資金の確保が重要課題であるのだろう。

 

「自動車セグメント」の営業利益率を見ても、そこまで高い水準というわけではない。

 

 

今や自動車製造業は、設備投資を怠れば、すぐに後れを取ってしまう産業である。

 

2003年設立のテスラの台頭を、見て欲しい。

 

さらに、KDDIとの長年に渡る関係性もあるわけで、設備投資資金の確保のために、KDDIに自己株買いをしてもらっている中で、楽天モバイルの支援は現実的ではないだろう。

 

テスラCEOのイーロン・マスク氏が、ツイッターを買収したのが440億ドル(約6兆円)。

 

6兆円あれば、三木谷会長は間違いなく存分に通信事業で暴れ回れるだろう。

 

イーロン・マスクさん、そういえばツイッター(今はXでしたでしょうか。)のCEOを退任するという話ですし、「楽天モバイル」はいかがでしょうか。

 

車と通信の融合の必要性については、世界のトヨタも認識済みの事項です!

 

ツイッター上でイーロン・マスク氏に提案したら、見てくれるだろうか。