ogurakaikei’s ブログ

会計・税務及び経済関連(時々雑談)

ヤマザキの決算書を覗く

しばらく世間の注目を集めていた「セブン&アイ」の「そごう・西武」売却の件から、最近は連日、とある芸能事務所の話題で持ちきりとなっている。

 

また芸能事務所の決算書は改めて見てみようと思っているのであるが、「セブン&アイ」の他にもコンビニ事業の会社を見たいと思っていた。

 

セブンときたら、次はローソン、ファミマ辺りが順当なのであるが、まずファミマは、現在上場していない。

 

ローソンは、上場を維持しているので、ありかなと思いながら、ふと自分の事務所のある駅前に最近開店したデイリーヤマザキを思い出した。

 

デイリーヤマザキは、セブン、ローソン、ファミマと比べると、存在自体がレア度が高く、開店したばかりの時は見に行ったのだが、そういえばその後1度も行っていない。。。

 

確かに、デイリーヤマザキをあえて利用するインセンティブを、個人的にあまり感じられていないというのが真実ではあるのだが、業績はどうなのであろうか。

 

デイリーヤマザキを運営するのは、山崎製パンである。

 

全然関係ないが、この山崎の「崎」の字は、似たような漢字で色んなバリエーションがあり、非常にいつも悩ましい(;^_^A

 

きっと、「ヤマザキ」とカタカナのロゴで展開しているのは、そういう事情もあるのではないだろうかと勝手思っている。

 

 

ヤマザキは、市川で開業をしたということもあり、市川の駅前に大きなヤマザキのビルが存在している。

 

市川に昔住んでいたこともあり、このヤマザキのビルはよく見ていたし、1階にヤマザキのアンテナショップのような店舗も入っていて利用していた。

 

そう考えると、ヤマザキは馴染み深い会社だなと改めて感じながら、山崎製パン株式会社の有価証券報告書を覗いてみようと思う。

 

 

ヤマザキのセグメントはコンビニやスーパー等で売られているパンやお菓子を製造、販売する「食品事業」、ヤマザキ自らがコンビニやスーパーを展開する「流通事業」がメインとなっている。

 

 

売上高を見ると、圧倒的に「食品」が大きい。

 

これだけだとよく分からないので、商品別に「食品」の内訳をみていく。

 

 

「菓子パン」の売上高が大きく、また直近でも伸びていることが分かる。

 

 

「菓子パン」の商品は、とても多いため、全てを示すことは到底出来ないのであるが、一部を抜粋してもどれも食べたことはあるような気がするし、少なくても店舗で見たことはあるものばかりである。

 

(2022年12月期)

2021年12月期との比較で、増減をさらに明示すると(収益認識基準適用に伴う影響を加味後)、「製菓・米菓」の売上も伸びていることが分かる。

 

(2022年12月期)

 

ヤマザキには、傘下に「ペコちゃん」で有名な不二家も入っているが、不二家の商品が好調であるとのことである。

 

 

不二家と資本提携をした際には、不二家の不祥事が発覚した時であり、再生復活支援にヤマザキが乗り出した経緯がある。

 

(2022年12月期)

 

それが、実を結んだということであるので、喜ばしい限りである。

 

日本に産まれて、不二家の商品を一切食べたことがないという人は、あまりいないのではないだろうか。

 

そういうブランド力を持った企業の底力を、今後も見せ付けて欲しい。

 

また、2023年12月期からは、神戸屋の一部事業も譲り受けているとのことで、今後の展開が期待される。

 

売上を見ている限りは、順風満帆のように見えるのであるが、利益はどうであろうか。

 

 

まず、目に付くのは「流通」の赤字。。。

 

そして、2020年12月期での全体的な利益減少である。

 

確かに、2020年12月期は売上も若干下がっているが、利益の推移で見るとその減少はより顕著である。

 

(2020年12月期)

 

やはり、2020年12月期の利益減少は、コロナ影響であるとのこと。

 

ヤマザキは食品系だから、あまり影響は受けていないのかなとも思っていたが、考えてみれば確かに菓子パンなどは、出先で買って、食べるケースが大半であるから影響は小さくなかったのかもしれない。

 

ただ、「食品」に関して言えば、そこから着実に回復してきているので良いのだが、問題は「流通」の連続赤字である。

 

冒頭での自分の感覚(あえてデイリーヤマザキに行く理由があるか?)が、もしかしたら世間の感覚と近いのかもしれない。

 

(2022年12月期)

 

有価証券報告書では、色々な収益改善を試みている様子は感じ取れる。

 

 

また、ヤマザキでは、「小売事業業績改善プロジェクト」を発足し、差別化戦略等の収益改善に取り組んでいる模様である。

 

個人的に思うところは、ヤマザキの製品という商品力は十分にあるものの、その製品を実際には他のコンビニやスーパーで同じように(むしろ安く?)買うことも出来るのであるから、あえてデイリーヤマザキで買う必要性があまりないのである。

 

もちろん、デイリーヤマザキしか、コンビニが近くにないとしたら、毎日行くのであろうが、近隣に各コンビニやスーパーがある中でヤマザキを選ぶ理由が必要なのではないだろうか。

 

セブン、ファミマ、ローソンも独自のプライベート商品を展開しているし、ミニストップだって他では食べられないスイーツを展開しているではないか。

 

少し、調べてみると、デイリーヤマザキでは傘下にある(持分法適用会社の)サーティーワンの限定フレーバーが売っていたりと、差別化の試みは見られるので、そういった独自性を出していって欲しい。

 

どこでも買える商品であるならば、スーパーの方が安く売っているわけだし。

 

 

(2023年12月期計画)

 

なお、全社的には、これまでも十分な利益をあげており、2023年12月期も増収増益を計画している。

 

(2023年6月期_第2四半期実績)

2023年6月期_第2四半期実績で見ても、利益は計画比で脅威の+30.0%超!!

 

その主な要因は、決して特殊要因ではなく、販売好調によるものである。

(ただ、若干計画の利益率が固く見積もられているのではないか、とも思うが。。。)

 

(2023年6月期_第2四半期)

 

(2023年6月期_第2四半期)

【営業利益】

 

なお、デイリーヤマザキを含む「流通事業」については、2023年6月期_第2四半期においても、前年同期比で改善が見られており、引き続き改善を続けて欲しい。

 

これだけ、商品力があるヤマザキがあえて、コンビニやスーパーを自社で展開する理由は何なのであろうか。

 

コンビニ業界の中で、トップを取りたくて展開しているとは思えず、やはりヤマザキのファンを作り出す店舗である必要が、あるのではないだろうか。

 

もっと、テーマパークか!?と思えるくらい、ヤマザキ色を店舗で出しても良いのかもしれない。

 

例えば、ヤマザキのランチパックが、デイリーヤマザキでしか買えないとなったら、きっと店舗に連日長蛇の列が出来るのであろう。

 

それは、ちょっと全社目線で考えた時に現実的な話ではないが、そういった価値観で是非改善し、「流通事業」の黒字転換をして欲しい。

 

それは、結果としてヤマザキのファンを生み、全社的に大きなプラスとなると思っている。