ogurakaikei’s ブログ

会計・税務及び経済関連(時々雑談)

ワークマンの決算書を覗く

最近、ワークマンの勢いが凄いとよく聞く。

 

ワークマンと言えば、作業着というイメージの人は、もう逆に少なくなっているのかもしれない。

 

「ワークマン女子」に代表されるように、オシャレで機能性があり、さらに安価な商品を展開しているというイメージが定着しつつあるのではないだろうか。

 

ユニクロに近いような、イメージなのかもしれない。

 

さらに、ワークマンの特徴としては、コンビニのように、フランチャイズ加盟店による店舗展開を加速させていることである。

 

しかも、コンビニのように近くに同じコンビニが出来てしまうといった事が起こらないように、しっかりと出店計画にケアしながら、地域密着型のフランチャイズ加盟店を増やしているようである。

 

自分の家の近くにもワークマンがあるのだが、そこは昔からあるワークマンのようで、ほとんど一般の消費者向けの商品は置いていないのだが、機能性はとても高そうだなと商品を見て思うし、恐ろしく安いなとも感じている。

 

是非、スポーツウェアやアウトドア向けの商品も展開している、ワークマンプラスに店舗を転換して欲しいなとも思いながら、ワークマンを展開する株式会社ワークマンの有価証券報告書を覗いてみようと思う。

 

 

ワークマンの設立は、実質的には1982年とのこと。

 

やはり元々は、作業服や作業用品の専門店であった模様。

 

 

もちろん、作業用品の分野では圧倒的なシェアを有していたものの、ワークマンプラスを開店した2018年頃から、一般消費者にも購買層が広がり、勢いが加速していると言って良いだろう。

 

桜木町のコレットマーレにあるワークマン女子は、いつも混雑していると聞いたことがある。

 

どんな感じか見てみたい気持ちはあるのだが、なんだが男性が入ってはいけない気もしていて行けてはいない。。。

 

 

なお、ワークマンは、単一セグメントを貫いている。

 

個人的には「作業服、作業関連用品、アウトドア・スポーツウェア」って同じくくりだろうかと思ってしまうところもあるのであるが、今後ワークマンプラスやワークマン女子がさらに拡大していくと、この辺りも変わってくるのかもしれない。

 

 

ワークマンは、フランチャイズ展開をしているため、損益計算書上の売上高としては、「営業総収入」が該当する。

 

「チェーン全店売上高」は、フランチャイズ店舗の売上高が含まれるため、損益計算書上の売上高とは異なるが、市場規模を図る物差しとしては有用であろう。

 

「チェーン全店売上高」は、1,700億円規模とユニクロと比べると、まだまだ一桁小さい規模ではあるものの、急成長を続けており今後も拡大が期待される。

 

損益計算書上の売上高としての「営業総収入」も、しっかりと右肩上がりであることが確認出来る。

 

なお、この「営業総収入」には、直営店の売上の他に、フランチャイズ店舗からのロイヤリティ収入や、その他収入、そしてフランチャイズ店舗への商品供給売上も計上されている。

 

(収益認識注記)

 

コンビニだと、フランチャイズ店舗への商品供給は外部業者との仲介で入っているだけということで、売上計上はしないで手数料をロイヤリティとして計上する場合が多いと思うのだが、ワークマンは商品供給売上を計上している点が特徴的だなと感じた。

 

(事業等のリスク)

 

ワークマンは、PB商品を含め、概ね海外から直接仕入をして在庫リスクを有し、フランチャイズ店舗へ販売しているということで、収益認識基準でいう履行義務を本人取引として果たしているという判断なのであろう。

 

(収益認識注記)

 

なお、上記の加盟店関連売上の合計が、全体の売上である「営業総収入」に占める割合は、上昇を続けており、2023年3月期では90%を超えている状況。

 

 

ワークマンにとって、お客様は消費者であり、フランチャイズ店舗なのかもしれない。

 

 

店舗数も直営店は、増えていない(むしろ減っている)中で、フランチャイズ店舗数は年々増加している。

 

ワークマンの商品力が、フランチャイズ店舗のオーナーに夢を与えて、背中を押している証拠であろう。

 

 

もちろん、売上だけでなく、利益も確実に出ている。

 

ただ、2023年3月期は、それまで連続して増益だった中で、減益となっているのが分かる。

 

(2023年3月期)

 

要因としては、海外からの仕入が多いため、円安の影響も受けているし、原材料価格の高騰も受けているようである。

 

それでも、経常利益率は、20%近くあり十分好業績であるため、不安要素ではあるものの、決して深刻な事態ではないと言えるだろう。

 

(2024年3月期_計画)

 

2024年3月期の計画では、しっかりと増収増益を見込んでいる。

 

円安や、原材料価格の高騰といった1企業の努力だけでは対応が難しい懸念点もあるものの、どんどん店舗数を拡大している中で、売上と共に利益もしっかりと確保していくことが求められるだろう。

 

(2023年6月期_第1四半期)

 

2023年6月期_第1四半期では、増収増益の計画と比べると、利益額が少し厳しい結果ではあるものの、確実に言えることは、厳しい市場環境の中でも店舗数を拡大しながら、しっかりと利益を出し続けているということである。

 

 

また、ワークマンとしても、原材料価格のピークアウトや、輸送コストの低下も直近で見られることから、増収増益となる当初の2024年3月期_業績予想の修正は行っていない。

 

今後の展開が楽しみでならない。

 

ちなみに、ワークマンは、現在は国内でしか店舗展開をしていないが、2027年までに台湾に海外1号店を出し、2030年までには売上の10%を日本以外で生み出す計画であることが報じられている。

 

圧倒的な商品力と、価格競争力を考えれば、当然の流れであるし、ユニクロのように日本が世界に誇るブランドとなる日も、そんなに遠くないかもしれない。

 

ユニクロの柳井会長のような目立つ方は、まだワークマンからは見られない気もしているが、きっと職人気質の確実に仕事をやり遂げる人材がたくさんいるのであろう。

 

そういえば、昔、吉幾三さんが作業服を着て「行こう、みんなでワークマン~」と歌っていたCMが遠い昔に感じるには自分だけであろうか。

 

最後に、あのCMを見たのはいつだったろうか、急に年をとった気がした。