ogurakaikei’s ブログ

会計・税務及び経済関連(時々雑談)

ドン・キホーテの決算書を覗く

まだまだ日中は暑いものの、だいぶ最近は、日が暮れるのが早くなってきた感覚がある。

 

今年の夏は暑かった。。。

 

そして、蚊にも複数回刺された。

 

2日連続で蚊に刺されて以降、バックには常に虫よけスプレーを常備し、エレベーターなどでの蚊との決闘等、こちら側が不利になるシチュエーションの際には、必ず複数回虫よけスプレーを体に噴射をして対策を講じた。

 

仮に虫よけスプレーが一つ無くなくなっても良いように、常に二つバックに入れて万全の対策を講じた。

 

お陰で、それ以降何度か危ない場面はあったものの、結果として刺されることはなく今日に至っている。

 

今年の蚊との決闘も、夏と共に最後のフィナーレが見えてきた。

 

しかし、油断は決してしてはならない。

 

夏の終わりの蚊は、全てをかけて決闘を挑んでくるものである。

 

こちらも、その決死の覚悟を受け止め、万全の体制で迎え撃つのが礼儀であろう。

 

そういえば、エレベーター内と共に、蚊の存在に気を付ける必要があるのが、夏の夜の公園である。

 

あの薄暗い公園の中では、蚊に決闘を挑まれているとも、蚊が何匹いるのかも分からないまま気が付けば腕、足が刺されているものである。

 

事前に虫よけスプレーを何重にも体にかけた上で、公園では蚊取り線香をたく必要がある。

 

なぜ、そんなリスクを負ってまで夜の公園にいるかというと、夏と言えばやはり花火だからである。

 

花火大会で打ち上げ花火を見るのも、当然夏の思い出には必要なのであるが、自分で手持ち花火をするのも忘れてはならない。

 

それは、蚊との決闘のリスクがあっても、自分にとって夏には必要なことなのである。

 

そして、いつも花火を調達するのが、ドン・キホーテである。

 

ドンキの花火コーナーは、毎年大きくなっている気がしていて、コロナ渦で花火を販売しているお店が少なかった状況にも変わらず、花火コーナーに力を入れてくれていた。

 

ドンキの花火は、多分ドンキが独自に市販の花火をまとめてパッケージしている商品もあるようで、いつもドンキのキャラクターである「ドンペン」が描かれている、透明のプラスチック容器に入れられた大量の手持ち花火セットを購入して、夏の夜を迎えるのである。

 

あまり、頻繁にドンキに行くことはないが、花火を買いに行く時などに店舗を覗くと、いつも人で賑わっている。

 

そして、何でも売っている。

 

在庫のコントロールってどうしているのかなと思ってしまうくらい、商品数が多いしそれぞれ大量に仕入れているように見受けられる。

 

在庫管理についてある程度システム化はしているだろうが、当然手作業が介在する部分は残されているはずで、激務なんだろうなと余計なお節介で思いをめぐらす。

 

そんな中、ドンキが34期連続増収増益を達成しているというニュースを思い出した。

 

ドンキ1号店を出して以来34期連続で増収増益とは、本当に凄いことで、常に利益を出しながら成長をしてきたということである。

 

単純に店舗を増やしていますということではなく、バブル崩壊、リーマンショック、コロナ、その他ありとあらゆる障害を乗り越えてのことである。

 

逆に会計監査をやる立場から見ると、もはや連続記録のような「止めてはならないもの」という感覚に経営陣がなっていると、不正リスクにつながる恐れもあるなと思ってしまうのは職業病であろうか。

 

そんな事をふと思いながらドン・キホーテを運営する株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスの有価証券報告書を覗いてみようと思う。

 

 

ドンキの設立は、1980年。

 

そこから9年経った1989年にドンキの1号店が開設されている。

 

意外と歴史があるんだなと思いながら、だから34期連続増収増益なのかと納得する。

 

 

ドンキ1号店の開設から9年で、株式上場。

 

その時点では、まだ10店舗しかないということなので、上場してからさらに成長スピードを加速させたのであろう。

 

(2022年6月期)

 

(2023年6月期)

 

ドンキは、2023年6月期でセグメントを大きく変えている。

 

2022年6月期までは、ドン・キホーテに代表される「ディスカウントストア事業」、スーパーを展開する「総合スーパー事業」、そして他のテナントに賃貸する「テナント賃貸事業」である。

 

これに対して、2023年6月期からは、より海外に規模を拡大していくという経営計画の下、「国内事業」と「北米事業」、「アジア事業」と地域別のセグメントに変更している。

 

 

2021年6月期と比して、2023年6月期では海外店舗数が125%と、実際に海外店舗数を増やしていることが分かる。

 

それにしても、ハワイでドンキを見たら、きっと写真を撮って友達に送ってしまうくらい何とも言えない感覚を覚えるのではないか、と思うのは自分だけだろうか。

 

まあ、それはさておき、セグメント別の直近5期間比較をしたいのだが、セグメント変更後のデータが2期分しかないため、便宜的にセグメント変更前と変更後に分けてみる。

 

 

 

34期連続増収増益ということで、当然に売上高は右肩上がり。

 

 

コロナ影響から回復している中で、海外だけでなく国内の店舗数も増やしているため、売上の増加というのはドンキからしたら当然の結果なのかもしれない。

 

なお、「総合スーパー」の売上高が2019年6月期、2020年6月期に大きく伸びている動きが見られるが、これはユニーを2019年1月に買収したことに伴うものである。

 

 

期の途中で買収したため、2019年6月期は6か月分の売上、2020年6月期は12か月分の売上が含まれたことによって、連続して売上が増加しているように見えるが、要因はこの買収によるものである。

 

 

総額500億円超の買収であるから、スーパーとディスカウントストアの融合を考えるドンキの本気度がうかがえる。

 

実は、ドンキで生鮮食品を見た時になぜドンキで!?、、、なんて思っていたがスーパー事業を買収していたんですねと納得した。

 

今度、買ってみよう。

 

そしてセグメント利益も、セグメント変更前後で区分してみる。

 

 

 

2020年6月期の「ディスカウントストア事業」の利益は微減しており、さすがにコロナでインバウンド需要が壊滅的な状況であった影響等が出ていた模様。

 

ただ、前述した通り2019年6月期の途中に買収したユニーの利益が、2020年6月期は12か月分入ってきているので、合計すると結果として増益ということにはなる。

 

やはり、こういう不測の事態というのは、当然起こるわけであまり連続増収増益という記録にこだわると、無理をした投資や、最悪の場合不正リスク等につながってしまう恐れもあり、会計監査をする身としてはどうしても気になるところではある。

 

 

 

なお、2023年6月期は、極めて業績好調であり、店舗数を拡大している一方で、物価高騰の影響で売上に対する販管費率は前期比で上昇しているが、それよりも売上原価率が改善しているために、営業利益率は上昇している。

 

 

これは、最近注目されているドンキのプライベート商品の拡大も多分に寄与していることと思われる。

 

(2023年6月期)

 

セブン&アイのセブンプレミアムも同様であるが、やはり資金力と販売力がある企業が、利益率の高いプライベートブランドに力を入れるという流れは今後も変わらないであろう。

 

(2024年6月期計画)

 

2024年6月期においても、やはり連続増収増益記録を更新する計画が確認出来る。

 

 

売上については、新規出店も当然のように計画されており、キャッシュフローも問題ないため、よほどの不測の事態が生じなければ計画達成は固いのではないだろうか。

 

 

ただ、利益については、インバウンド需要の回復は見込まれるものの、現在の物価高騰の中で「驚安」を掲げているドンキが大幅に値上げをするわけにもいかず、一方で光熱費、人件費等は容赦なく上がるのであるから、なかなか厳しいそろばん勘定なのではないだろうか。

 

もちろん、連続記録を達成出来るに越したことはないが、是非、あまり連続記録には固執せずに、「驚安の殿堂」を守り続けて欲しいものである。

 

今年のドンキで買った花火も最高でしたよ。

 

そういえば、なんで花火は夏なのだろうか。

 

冬の方が蚊もいないのに。。。

 

まあ、単純にそもそも、寒くて花火を持っていられないということなのかしら。

 

手袋してたら危ないもんね。