ogurakaikei’s ブログ

会計・税務及び経済関連(時々雑談)

U-NEXTの決算書を覗く

先日、いつも重宝しているアマゾンのオーディブルで「起業家の勇気」という、宇野康秀氏の生い立ちから3社を上場させたその軌跡が記された書籍を聞いた。

 

最近のオーディブルは、こういったビジネス系の書籍のラインナップも充実してきていると感じている。

 

ちなみに、たまに著者本人が自ら朗読している書籍もあるのだが、あれは本人がアマゾンに売り込んでいるのだろうか(;^_^A

 

個人的に、ちょっと気になっている。。。

 

それはさておき、宇野氏のビジネスへの才覚と勇気、不屈の精神には心底驚かされた。

 

単純に会社を3社上場させる時点でとんでもない事なのであるが、決して平坦とは言えない中での、不屈の精神には感銘を受けた。

 

そんな、宇野氏が現在、代表取締役社長CEOを務めているのが、株式会社USEN-NEXT HOLDINGSである。

 

「NEXT」と言うだけあって、色々な経緯を経ての会社ではあるが、その辺りも踏まえつつ、有価証券報告書を覗いてみたいと思う。

 

 

まず、最初の最初に出てくるのは宇野氏の父親が創業した「大阪有線放送社」である。

 

「大阪有線放送社」は、宇野氏の父親の代で既に業界に確固たる地位を築いていた会社なのであるが、宇野氏はそこに入ることはせずに、自ら起業して、まずその会社(インテリジェンス)を上場させている。

 

インテリジェンス時代から、既に宇野氏は有名な若手起業家の一人であったが、次男であったこともあり、元々は父親の会社に入ることは全く考えていなかったというのは有名な話である。

 

しかし、病床の父親からの突然の後継指名により、宇野氏は「大阪有線放送社」を継ぐことになるのだが、そこから光ファイバー・ブロードバンドサービスに乗り出し、2社目の上場。

 

その後、動画配信サービスである「GyaO」も展開するのであるが、同時に加速をさせていたM&Aにより保有していた多数の子会社株式が、2007年の世界的金融危機の影響を受け、その株価を大きく落とした結果、責任を取る形でUSENの代表取締役社長を辞任している。

 

 

ただ、そこから凄いのが、会社分割により一部事業を承継し、その会社で「U-NEXT」などのサービスを開始。

 

2014年には、3社目の株式上場を成し遂げている。

 

そして、2017年には、過去退任したUSENを吸収合併し、その歴史を見事に取り戻した。

 

もうこの経緯を見ているだけで、十分お腹いっぱいという印象なのであるが、それはそのはずで、だからこそ本が1冊書けてしまうのである。

 

 

ようやく、セグメントになるが、動画配信から、自動精算機、電力の販売など結構バラエティーにとんでいる。

 

ただ、よくよく、そのつながりを見ていくと、以下の通りちゃんと各事業の間でシナジーが考えられていることが分かる。

 

 

だからこそ、3社も上場させられるのだろう。

 

 

売上で見ると、安定している「店舗サービス」に加え、急成長している「コンテンツ配信」が牽引し、「エネルギー」もその後を追って急拡大している。

 

 

利益で見ると、こちらも「店舗サービス」の安定感が見られる。

 

やはり、60年を超えて携わっている有線放送には、圧倒的な強みがあることは確かなのであるが、当然それだけではなくPOSレジなど、既にあるネットワークを活かしてDXやIoT商材も展開しているのである。

 

 

(POSレジ期末課金件数)

 

有線放送だけでは、先細りしてしまう事は明らかで、そのネットワークを使って、その他の商材も展開している。

 

一見、関係ないような事業に見えても、しっかりとつながっているのである。

 

(コンテンツ配信_課金ユーザー数)

 

そして、「コンテンツ配信」のユーザー数も着実に伸びており、直近ではParaviとの連携で大きく会員数を伸ばしている。

 

コンテンツビジネスは、会員数が多くなれば、よりよいコンテンツを仕入れたり、制作出来るという好循環が生まれるビジネスであるから、これから一層の成長が見込まれるだろう。

 

そして、「エネルギー」の成長も顕著であり、こちらも着実に契約数を増加させている。

 

(エネルギー_顧客件数)

 

さらに、調達電源最適化により、2023年8月期のセグメント利益は、大きく伸びている。

 

(エネルギー)

 

こんなに顕著に利益率が変わるのか!?今まで何していたんだ!?(;^_^Aというレベルの伸びである。

 

(2024年8月期計画)

 

当然、来期も増収増益!!と思っていたら、「エネルギー」の売上が落ちている??

 

これは、「エネルギー」の契約件数の純減を見込んでのことのようで、やはり他社もどんどん参入してきているということだろう。

 

一方で、大幅な売上増かを見込んでいるのが、「コンテンツ配信」である。

 

 

日本国内のシェアは第2位ではあるが、既に、コンテンツ数は国内No1とのことで、電子書籍も見れてしまうようである。

 

NHKやテレビ東京とも一部のコンテンツの連携を、しているようである。

 

昔の自分は、こういう時にすぐ会員になって、気が付いたら1年くらい全く見ていないアプリがたくさんあり、意を決して整理した経験があるため、慎重に吟味をすることにはなるが、今後の「U-NEXT」の展開には大いに期待している。

 

何と言っても宇野氏が、国内のシェア第2位の地位に甘んじているはずがない。

 

ところで、国内第1位はどこなんだろうか。

 

プライムビデオかな!?ネットフリックスかな!?