ogurakaikei’s ブログ

会計・税務及び経済関連(時々雑談)

サイバーエージェントの決算書を覗く

昨日、いつも使わないATMでお金を下した。

 

最近は、あまり現金を使うケースも少なくなってきたので、いざという時にお金がくずれてなく1万円札しかない場合もある。

 

なので、いつもお金を下す時に千円札も入るように、9万9千円を下すようにしている。

 

昨日も、いつもと違うATMではあるが、パパパと画面をタッチして引き出しを行ったのだが、なんだか凄いパタパタとお札の数を数えている音がATMからする。

 

しばらく待つと、とんでもない札束がATMから出てきたのである。

 

なんだ、これは??と驚くと同時に、なぜか後ろをキョロキョロしたりして、もしかしたら不審者に見えたかもしれないが、そのくらい動揺した。

 

よく見ると、9万9千円が全て千円札だったのである。。。

 

つまり、千円札が99枚出てきた。

 

一瞬、とんでもない大金を手にしてしまったと思ったのだが、全て千円札と分かった今、さてこれをどうするべきだろうかと、ATMの前で悩む。

 

幸い、ATMに並んでいる人がいない事は、後ろをキョロキョロした際に確認している。

 

千円札99枚は、まず財布には入らない。

 

カバンに入れて、持ち歩くか!?

 

いや、無造作にカバンに大量の千円札を入れていたら、何か荷物を出した際に、誤って千円札をその場にバラまいてしまうかもしれない。

 

そんな事を一通り考えて、止む無く再度ATMに入金をした上で、出金をし直した。。。

 

どうやら、「99」を入力した後に「千」を押すと、99枚の千円札という事になるようだった。

 

「9」を入力した後に「万」を押して、再度「9」を入力した後に「千」を押すのが正解らしい。

 

コンビニのATMで下すことが多いのだが、今までこの操作に気を使ったことはないので、仕様が違ったのだろう。

 

そんなこんなで、通常の3倍手間をかけて、出金をしたのであるが、思いがけず突然大金を手にした時(自分の場合は、勘違い)、人は驚いてしまうものだろう。

 

宝くじとか、ギャンブルとかは、もちろんであるが、かつてあったITバブルも多くの若い起業家に大金をもたらした事例であろう。

 

先日、決算書を覗いたU-NEXTの代表取締役社長CEOである宇野氏が、インテリジェンス時代に同社へ入社した藤田氏もその若い起業家だった一人である。

U-NEXTの決算書を覗く - ogurakaikei’s ブログ (hatenablog.com)

 

藤田氏は、サイバーエージェントを起業後わずか2年で上場させ(当時史上最年少)、その後村上ファンド等による買収危機もありながら、現在も会社を成長させている。

 

その意味では、ITバブルで大金を手にしながらも、浮足立つ事なく、自分のように後ろをキョロキョロ見る事もなく、しっかり地に足を付けていた結果と言えるのではないだろうか。

 

ITバブルで急成長した多くの会社が消滅していった中で、やはり藤田氏は経営者として一流だったという事ではないだろうか。

 

 

サイバーエージェントは、なんと創業以来26期連続で、増収なのである。

 

そんな藤田氏が代表取締役社長を務める、株式会社サイバーエージェントの有価証券報告書を覗いてみようと思う。

 

 

サイバーエージェントの設立は、1998年。

 

藤田氏が、宇野氏のサポートを受けて設立したのだが、その後2年で上場。

 

既に記載したが、当時、史上最年少での上場であった。

 

2004年に藤田氏悲願のメディア事業である「Ameba」が開始されているが、2000年に上場してからこの2004年の間には、上場で多額の資金を保有していたサイバーエージェントの買収の危機が、幾度もあったというのは有名な話である。

 

これを、書き始めると、これで終わってしまうので、詳細は記載しないが、村上氏や宇野氏、三木谷氏、熊谷氏など、著名な登場人物達による、まさに経済ドラマのような攻防が繰広げられているので、是非確認して欲しい。

 

 

 

サイバーエージェントが展開する事業は、創業からの強みである「インターネット広告事業」を中心に「ゲーム事業」、藤田氏がこだわりを持って展開している「メディア事業」、そしてこれも藤田氏が自身のライフワークと語っているのを、どこかで見た事があるが「投資育成事業」と続く。

 

 

セグメント別の売上では、創業からの圧倒的な強みを持つ「インターネット広告」の右肩上がりが目に止まる。

 

(2023年9月期)

 

インターネット広告は、どれだけ効果的に広告を表示して、クリックをされるかという事が重要なのであろうから、ビッグデータを分析するためにAI・DX分野への積極投資が、必要不可欠である。

 

そこに継続的に力を入れているから、常に業績を伸ばし続けられるのであろう。

 

 

今後も、その方向性は不変のようである。

 

そして、「ゲーム」も上下はあるものの、既に2大事業と言って良いのではないだろうか。

 

「メディア」も着実に売上規模を拡大しているのが、確認出来る。

 

 

セグメント利益で見ると、「ゲーム」の収益性の高さと、ヒット作がある時とない時の波の大きさを改めて感じる。

 

(2021年9月期)

(2023年9月期)

 

2021年9月期は、「ウマ娘プリティーダービー」というゲームが、大ヒットしたようである。

 

全く知らなかったのだが、面白いのだろうか。。。

 

試してみようかな。。。

 

スマホで出来るんですよね??

 

 

サーバーエージェントの研究開発費は、主に「ゲーム」の開発に費やされているようであるが、その規模は年々大きくなっている。

 

2023年9月期は、約100億円の投資がされており、これは「ゲーム」の売上の6%近くを占める。

 

また、大ヒットが生まれるかもしれないと、期待が持てる投資額である。

 

 

なお、これだけ投資をしている「ゲーム」は、同時に多額の減損損失も恒常的に発生させており、大ヒットを生む苦しみも決算数値から見て取れる。

 

そして、目立つのが、「メディア」の連続赤字である。

 

(2023年9月期)

 

売上規模は、年々大きくなっているのであるが、現時点ではマネタイズ出来ているとは言い難い業績である。

 

サイバーエージェントは、自社コンテンツにもこだわっているようなので、「ゲーム」と同様に大ヒット作が出るか出ないかも大きいのかもしれないが、確実に毎年利益が出るようにすることが、今後のサイバーエージェントの大きな経営課題になってくるだろう。

 

 

(2024年9月期_計画)

 

2024年9月期も創業以来連続の増収を見込んでいるが、「インターネット広告」が順調で「ゲーム」が大コケしない限り、サイバーエージェントはこれからも成長出来るに違いない。

 

そして、「メディア」がマネタイズに成功した時には、サイバーエージェントが数段階違う次元に飛び立つ時であろう。

 

そこが、藤田氏の目指している世界に違いない。

 

藤田氏が起業する時に、宇野氏から「馬とフェラーリ」を買わなければ、自由にやって良いとアドバイスを受けたと聞く。

 

それから、20年以上の時が経ち、藤田氏はついに宇野氏から馬の購入を許可されたと聞く。

 

逆にそれまで、ちゃんと守っているのが凄い。

 

これが、ITバブルで大金を手にしながらも、浮足立つ事なく、経営の第一線で居続けられる所以ではないかと感じる。

 

千円札99枚を目の前にして、驚いてしまう自分には極めて教訓となる話である。