ogurakaikei’s ブログ

会計・税務及び経済関連(時々雑談)

ベネッセの決算書を覗く

先日、ベネッセが創業家によるMBOの実施で、上場廃止となるニュースが報道された。

 

 

 

47,818,900株を下限として、1株2,600円で買付を行うので、総額は少なくとも1,200億円以上となる。

 

ドジャースと1,000億円で契約した大谷選手でも、ちょっとは驚く金額ではないだろうか。

 

ベネッセと同業である学研の決算書を覗いた際には、教育分野の伸び悩みが見られる一方で、医療福祉分野の拡大が確認出来ていた。

学研の決算書を覗く - ogurakaikei’s ブログ (hatenablog.com)

 

ベネッセも介護分野には参入していると事前に認識していたため、同様に業績は悪くないのではないかと思っていたから意外であった。

 

なぜなら、MBOを実施するという事は、基本的に業績が低迷していて株価が安くなっているという事であるから。

 

自分は、進研ゼミを子供の頃にやっていたので、どちらかというと学研よりもむしろ思い入れがあるだけに、決算書を覗かずにはいられなくなった。

 

進研ゼミの教材は、とても考え抜かれていて、付録もとても充実していた記憶がある。

 

答案を採点してくれる通称「赤ペン先生」も、解答用紙に絵をたくさん書いて採点してくれるなどホントによく教育されているなと子供心に思ったものである。

 

Z会も実はやっていたのだが、Z会の教材は進研ゼミとは真逆な無機質で、同じ子供用の教材なのに全くポリシーが違うんだなあとずっと不思議に思っていた。

 

今思えば、同じ子供でもタイプが全然違うわけで、進研ゼミのマンガのような教材が良い子と、必要最小限の情報が無機質に書かれているZ会のような教材が良い子がいるという事だろう。

 

個人的には、進研ゼミの教材の方が圧倒的に好きだったのではあるが(;^_^A

 

そんな、個人的には子供の頃から思い入れのある進研ゼミを運営する、株式会社ベネッセホールディングスの有価証券報告書を覗いてみようと思う。

 

 

ベネッセの創業は古く、1955年。

 

きっと、創業者は、子供に寄り添ってやる気を引き出すような教育ポリシーを持っていたに違いない。

 

そうでなければ、あんな教材は作れない。

 

創業から40年経って、上場。

 

むしろ、このタイミングでよく上場という選択をしたものだと思ってはしまうのだが、この辺りで海外展開や、介護事業にも参入しており拡大局面であったのだろう。

 

 

ベネッセのセグメントは、進研ゼミを運営する「国内教育事業」、こどもちゃれんじを運営する「Kids&Family事業」、そして介護事業を運営する「介護・保育事業」である。

 

 

セグメント別の売上で見ると、良くも悪くもあまり変化が見られない。

 

まず、英会話で有名な「ベルリッツ」を20223月期に売却したため、20233月期からセグメント認識がされていない。

 

(2022年3月期)

 

そして、学研では顕著な右肩上がりであった「介護・保育事業」の売上に、あまり変化が見られない。

 

 

ベネッセにおいても「介護・保育事業」への設備投資額は、毎年多額に行っているものの、なぜか売上が伸びていない。

 

 

その理由は、コロナ渦で入居率が低下していた事が要因である。

 

学研は、この入居率がコロナ渦でも上昇をしており、この違いが、業績の違いとして表れているものと思われる。

 

直近では、入居率も上がっているため、いずれにしても今後に期待が持てるのは間違いないであろう。

 

 

セグメント利益で見ると、「ベルリッツ」の連続赤字が続いていたことが分かり、売却は止む負えない状況だったのかもしれない。

 

(2022年3月期)

 

ちなみに、2022年3月期には、「ベルリッツ」を売却したことに伴って、95億円もの売却損を計上している。

 

ここまでいくと、「ベルリッツ」の売却は、損切りの意味合いもあったのではないかと思ってしまう。。。

 

(2022年3月期)

 

そして、2022年3月期には、「国内教育」のセグメント利益が伸びている。

 

その要因として、塾・教室事業の顧客数や学校向けの教育事業の受注が増加した事に伴う売上増加によるものとのことであり、それ自体は大変喜ばしいことである。

 

一方で、屋台骨である「進研ゼミ」と「こどもちゃれんじ」の会員数が減少傾向であることは、注視しなくてはならない。

 

 

明らかな減少傾向にあり、このまま減少が続けば業績への影響は避けられないであろう。

 

創業家には、そういった危機感があるのかもしれない。

 

 

海外の会員数も同じく、減少傾向にある。

 

こういった状況を受けてかもしれないが、今後の事業計画の変更に伴ってセグメント変更が行われている。

 

 

海外こどもちゃれんじが、「その他」となり、「介護・保育」が格上げとなった感じだろうか。

 

今後の「介護・保育」のポテンシャルを考えれば、合理的な判断と言えるだろう。

 

また、「大学・社会人」が新たにセグメント認識されている。

 

確かに、進研ゼミのような懇切丁寧な教材で、大人になっても勉強したい。。。

 

 

ただ、現状はUdemyというプラットフォーム上で、講座の提供者が動画をアップするような仕組みらしい。

 

1講座、数千円~数万円するように見受けられたが、進研ゼミの精神はそこに受け継がれているのだろうか。。。

 

数百円なら、気軽に試せるのだが。。。

 

ちなみに、サブスクもあるみたい。

 

2024年3月期中には、MBOが成立するスケジュールであるベネッセとしては、まさに激動の期の真っ最中ではあるが、増収増益を見込んでいる。

 

(2024年3月期_計画)

 

これに対して、直近の実績も順調に来ているようであるが、やはり「介護・保育」が起爆剤となっている模様。

 

(2024年3月期_第2四半期実績)

 

逆になんで学研みたいに、これまで右肩上がりではなかったんだろうか。

 

そこにも、創業家の不満があったのかもしれない。

 

 

MBO成立後は、機動的な意思決定により積極的なM&Aで教育事業、介護事業を加速させるとのこと。

 

確かに、これまで培ってきた「国内教育」と、成長が見込める「介護・保育」に力を入れるというのは、経営判断として十分にうなずけるものである。

 

出来れば、スタディングみたいに社会人向けの独自コンテンツも展開して欲しい気はしている。

 

また、進研ゼミの教材で勉強したい!!

 

そう思っている大人は、結構いるのではないだろうか。

 

それが、ベネッセの強みではないだろうか。

 

ベネッセさん、ファンはたくさんいますよ!!

 

非上場になっても、寄り添う教育スタイルを貫いて下さい、応援しています!!