ogurakaikei’s ブログ

会計・税務及び経済関連(時々雑談)

学研の決算書を覗く

先日、学研まんが「日本の歴史」のkindle版を、全巻大人買いしてしまった。

 

思い起こせば、自分が小学生の時のクリスマスプレゼントで、「日本の歴史」を頼んでもないのに渡されたのだが、結果として夢中で読んでいた記憶がある。

 

正直、日本の歴史の基本的な知識は、このマンガで十分得られるのではないかと思うほど、よく出来ていると改めて思っている。

 

ただ、紙媒体で全巻保管するとかなりのスペースを要するのがネックで、これが電子書籍で読めるのだから良い時代である。

 

学研と言えば、「まだかなまだかな~、学研のおばちゃんまだかな~」というCMが自分の子供の頃、よく流れていたような気がするのであるが、最近もまだ流れているのだろうか。

 

よく考えたら、「学研のおばちゃん」なる人を見たことはないのだが、学研の教材を訪問販売していたのだろうか。

 

定期購読であれば、宅配業者がポストに入れて終わりであるはずであるのだが、その都度お金を支払うシステムであったのだろうか。

 

自分は、進研ゼミのチャレンジをやっていたが、普通にポストに投函されていたような気がするのであるが。。。

 

学研のHPを見たが、「学研のおばちゃん」の詳細な業務内容については確認が出来なかった。

 

一方で、学研の代表的な雑誌であった「科学」と「学習」(これが「学研のおばちゃん」が届けてくれていたものと思われる)は、既に休刊となっている事も分かった。

 

でも当時の雑誌に付いていた「ふろくギャラリー」が紹介されており、確かに今見ても面白そうではある。

 

進研ゼミのふろくを楽しみにしていた当時の自分を、思い出した。

 

このラジオセットとか、電池がなくても聞こえるらしい!!

 

普通に今、欲しいと思ってしまった。

 

なぜ、休刊してしまったんだろう。

 

やっぱり、こういったものより、任天堂switchで遊んでいる方が、楽しいんだろうか。。。

 

そんな、思いをはせながら、株式会社学研ホールディングスの有価証券報告書を覗いてみようと思う。

 

 

当然と言えば、当然であるが、学研は老舗企業である。

 

設立は、終戦間もない1947年、上場が1982年。

 

創業と共に上記の「学習」が発刊され、その17年後の1963年に「科学」が発刊されている。

 

まさに、「学習」と「科学」そして「学研のおばちゃん」と共に、成長してきた会社である。

 

 

学研のセグメントとしては、教室・塾の運営や出版物の発刊等を行う「教育分野」及び、高齢者向け住宅やグループホーム、学童等を運営する「医療福祉分野」である。

 

 

セグメント別の売上で見ると、「教育分野」も決して悪い推移ではないのであるが、「医療福祉分野」の急成長が圧倒的であることが分かる。

 

「医療福祉分野」に参入して以降、総戸数を年々大きく伸ばしている。

 

驚きなのは、高い入居率である。

 

まさに、拠点を拡大すればするほど、入居者が増える状況で、需要はまだまだあると考えて良いだろう。

 

逆に、需要はあっても対応できる人の確保が重要となってくる事が明らかで、これが、世に言う介護業界の深刻な人手不足という問題なのであろう。

 

 

セグメント利益で見ても、「医療福祉分野」は、安定した成長が見られる。

 

一方で、「教育分野」は、コロナ渦でのアップダウンが見られる。

 

(2023年9月期)

 

2023年9月期で見ると、「教室・塾事業」は、好調であるものの、「出版コンテンツ事業」と「園・学校事業」が前期比で落ちていることが分かる。

 

(2023年9月期)

 

なお、「教室・塾事業」も数字だけ見ると前期比で好調に推移しているように見えるのであるが、実際には「教室事業」は、教室数、会員数の減少に伴って減収減益となっている。

 

 

また、「塾事業」の好業績も、これまで持分法適用会社であった会社を連結子会社化した影響が大きい模様。

 

(2023年9月期)

 

 

連結対象とすることによって、認識される拠点数も、生徒数も大きく増加しており、実態として何かが大きく変化したということではない。

 

さらに、「出版コンテンツ事業」も、「地球の歩き方」など一部の好調な書籍はあるものの、返品率が高くなっており、厳しい業績となっている。

 

 

学研には、「日本の歴史」など、決して無くなってはならない書籍がたくさん発刊されているため、何とか立て直して事業を継続、発展させて欲しいものである。

 

なお、看護師向けのe-ラーニングが年々成長しており、またこのe-ラーニングは営業利益率も極めて高いことから、今後の期待材料も見受けられる。

 

 

そして、「園・学校事業」は、2023年9月期が教科書採択の端境期にあたっていることもあり、厳しい業績となっているが、2024年9月期は教科書採択の時期にあたる予定であるため、改善が期待される。

 

 

現時点(2023年11月15日)においては、2024年9月期の事業計画は明らかではないものの、確実に伸びることが想定される「医療福祉分野」が全体を牽引しつつ、伝統ある「教育分野」の底力が試させる年度になるのではないだろうか。

 

そう考えると、「学研のおばちゃん」は、今まさに「医療福祉分野」で大活躍されているのかもしれない。

 

介護の仕事は、本当に大変尊い業務であることは認識しているし、何よりも入居者にとっても、その家族にとっても無くてはならない存在である。

 

それはきっと、「まだかなまだかな」と心待ちにしている、まさにそういう現場なのであろう。

 

心からの敬意を表しつつ、無理なく拡大していって欲しいと切に願う。