ogurakaikei’s ブログ

会計・税務及び経済関連(時々雑談)

産業分析から見る生産ネットワーク(6/6)

 フラグメンテーションは「生産・物流ネットワーク」の存在が必要不可欠となりますが、部品やアプリケーションを供給するサプライヤーの分厚い集積を生み出し、産業を構成する工程が細分化され、個々の工程がそれに適した地域や国に割り当てられる形で生産されてきたiPhoneについても常に、当該事項が意識されその見直しが随時行われているのであります。上記の部品供給企業については、同じiPhoneであってもシリーズごとに、採用企業は当然に変化をしています。例えば、液晶パネルで従来主要ディスプレー供給メーカーの一つであった日本のジャパンディスプレイは、より画像が鮮明な有機ELパネルの供給をすることが出来ずにサムスンにその供給を譲っています。また、組み立て拠点についてもこれまで大きなシェアを占めていた中国は、ゼロコロナ政策によりロックダウンが行われ組立工場は操業が制限され、都市封鎖により物流も止まったことによるアップル製品の納期の遅れや、品不足が目立っており、当該状況を打開するため中国依存から脱却し、インドやベトナムへの移転を進めています。これこそがフラグメンテーションに「生産・物流ネットワーク」の存在が必要不可欠ということの証であります。

 

参考文献

・東アジア優位産業(中央経済社

日本経済新聞