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会計・税務及び経済関連(時々雑談)

相続税法における信託受益権 (8/8)

受益者等が存することとなった場合

贈与税又は相続税が課税される信託受益権の課税要件等は、次のとおりです。

 

「課税要件」・・・

・受益者等が存しない信託について、その信託の契約締結時等において存しない者がその信託の受益者等となる場合

・その信託の受益者等となる者がその信託の契約締結時等における委託者の親族であるとき

 

「課税時期」・・・その存しない者がその信託の受益者等となる時

 

「課税対象者」・・・その信託の受益者等となる者

 

「課税財産」・・・信託に関する権利(信託受益権)

 

「贈与者」・・・個人

 

「取得原因」・・・贈与により取得したものとみなす

 

未だ生まれていない孫を受益者とする信託を設定した場合には、受託者段階での税負担だけで孫への財産移転が可能となります。例えば、通常の相続では生まれていない孫へ財産を承継させるためには、少なくともその前に孫以外の者に一旦財産を帰属させ、その後に、生まれてきた孫に承継させることとなります。このような場合に少なくとも2回の相続を経る必要がありますが、財産の移転を信託という手法を用いて行うと相続の回数を減らすことができ、その分の相続税の負担を免れることが可能となります。そこで、信託を利用した場合とそうでない場合との税負担の均衡を図るため、この規定が設けられています。