前回、ラクスルの決算書を覗こうと思ったのだが、ラクスルでの個人的なエピソードで思いの他、長くなってしまったため止む無く2部構成にする事とした。
ラクスルの決算書を覗く(1/2) - ogurakaikei’s ブログ (hatenablog.com)
ようやくではあるが、今回ラクスル株式会社の有価証券報告書を覗いてみようと思う。
まず、ラクスルの設立は、2009年。
そこから9年経った2018年に、上場している。
それにしても、最初「ラクスル」と社名を変更した時には、結構思い切った決断だった事だろう。
(※社名の由来は、中小企業の商売を「楽にする」)
ラクスルのセグメントは、直近では印刷・集客支援のプラットフォームを運営する「ラクスル」と、テレビCM広告のプラットフォームを運営する「ノバセル」の2つである。
なお、物流のプラットフォームを運営する「ハコベル」は、持分比率が低下した事に伴って、持分法の対象となったことからセグメントの認識から外れている。
それにしても、「ラクスル」「ノバセル」「ハコベル」と、もうこのネーミングシリーズで全て攻めていくという覚悟を感じる。
売上を見ると、「ラクスル」の売上割合が圧倒的である。
そして、キレイな右肩上がり。
一方の「ノバセル」は、2021年7月期に伸びたものの、それからは伸び悩んでいるように見受けられる。
利益はどうであろうか。
セグメント利益で見ても、「ラクスル」の利益が圧倒的であり、こちらもキレイな右肩上がり。
これが、勢いのある会社の業績なのであろう。
「ラクスル」のユーザー数もキレイな右肩上がり。
平均単価は若干下がっているものの、年間購入者数は、脅威の前期比+25%超。
この勢いを可能としているのが、やはり多額の広告宣伝費であろう。
ラクスルの素晴らしい所は、広告宣伝費を多額に使いながらも、売上だけでなく利益幅をしっかりと拡大している所である。
よく見ると、広告宣伝費も2022年7月期をピークに2023年7月期では減少している。
うまい経営手腕、と言えるのではないだろうか。
ラクスルは圧倒的に安いのにも関わらず、スピーディーでかつ品質も良い(注文する側がちゃんと注文をすれば。。。)。
ラクスルは、取引効率を良くしコストを削減する事によって、あの低価格を実現している。
そして、ITを活用する事で、ユーザー側の負荷も下げられている。
だから、商品力があるという事は間違いないわけで、さらにある程度の知名度も既にあるならば、これ以上広告宣伝費を増やす必要もないのであろう。
一方で「ノバセル」は、セグメント利益も2022年7月期から連続して赤字であり苦戦が見受けられる。
平均放映月数が、低下している模様である。
(2023年7月期)
大企業への顧客層のシフト等、業績回復に向けて施策は講じているようであるが、直近の2023年10月期の第1四半期の業績を見ると、依然として「ノバセル」の苦境(前年同期比でマイナス)が見て取れる。
対照的に「ラクスル」は、絶好調であり、2024年7月期の業績予想も強気の設定となっている。
(2024年7月期_業績予想)
ただ、過去からの推移を見れば決して違和感のある計画ではなく、2023年10月期の第1四半期の業績を見ても、十分に達成可能な水準であろう。
欲を言えば、「ノバセル」をまさにノバセレば。。。
また、2025年1月には、麻布台ヒルズへの本社移転が決定しているとのことで、まさにラクスルの躍進を世に示すものである。
きっと、社員のリクルートにも一役買うことであろう。
ITを活用して効率性を追求しているラクスルが、移転の目的の一つに「従業員が出社したいと思うような環境を整備」としていたのが、意外と言えば意外であったが、それだけ会社の一体感の醸成という点については、効率性の追求だけでは達成出来ないことなのだろう。
リモート勤務だけではなく、出社して一致団結!
従業員は、ロボットではなく、人間ですからね。