サウナに入って10分近くの時が経過すると、途端に時計の秒針の進みが遅くなる。
この感覚は、サウナのベテランの方であっても同じなのではないだろうか。
しかし、サウナーはこのタイミングで、サウナを出てから入る水風呂を思い浮かべ、そこから数分間、秒針の進みが遅い時計とにらめっこしながら耐えることが出来るのである。
耐え抜いた後の水風呂は、最高である。
サウナに慣れていない人の中には、「水風呂は入れない」という人が多いが、もったいないので絶対にトライするべきだ。
先日サウナに行った際も、サウナ内で最後の数分を耐え抜き、外に出てシャワーを浴びていざ水風呂に突入!!
といつも通りの流れの中で水風呂に足を入れようとした瞬間、ふと水風呂から声が聞こえた。
「汗、流してから入られた方が良くないですか??」
あれ、シャワー浴びたんだけどな。。。
という言葉を飲み込んで、再度シャワーを浴びに行く。
サウナーの方なら共感してもらえると思うが、その間にどんどん体は冷めていき水風呂から受ける最高感度のタイミングは過ぎ去っていった。
なぜ、こんな事になってしまったんだと思いながら原因を考えた。
考えた結果、1つの答えにたどり着いた。
シャワーを水風呂前でなく、少し離れたシャワーブースで浴びていたからだ。
シャワーを浴びているという事実が、相手に伝わっていない。
だから、相手が不安に思う。
経済学でいうところの、「情報の非対称性」みたいだなと思った。
例えば、売主と買主が売買契約を締結する際に、そこには情報の非対称性があり、その商品の品質を全て買主が見抜くことは困難である。
その場合、契約時に、品質が確証されることを支払条件に盛り込む、瑕疵担保を入れる、信頼のおける認証機関による品質保証をつける、登録商標や暖簾で評判を確立するといった「シグナリング」を行う必要があるのである。
有価証券報告書について、公認会計士が会計監査を行い「監査意見」を表明するのも「シグナリング」と言って良い。
つまり、実際にシャワーを浴びているのか、浴びていないのかが分からなかったということで、安心してもらうためには、第三者のおじさんにシャワーブースに一緒に入ってもらってしっかりとシャワーを浴びていることを確認してもらう。
そして、誰かが「本当にシャワー浴びた?」と不安に思ったら、「私が浴びていることを確認しました」とおじさんに証明してもらうのである。
いや、しかしおじさんとシャワーブースに二人で入っている段階で、それはマナー違反であり、そもそもそんな事に対応してくれるおじさんはいない。
店から、出入り禁止と言われる可能性もある。
現実的な対応方法としては、水風呂の目の前のシャワーで、ゴシゴシ汗を流すことだ。
これから入る水風呂の目の前のシャワーを利用するという点と、ちょっと頭から水をかけたくらいではなく、ゴシゴシという点もポイントである。
頭からかけた水が体に流れて、汗も流れていますといくら言ったところで、体に付いている水分が水なのか汗なのかを判断することは他人には出来ない。
やはり、みんなで共有の空間にいる以上、そういった点に配慮して相手に伝わるように行動する必要があるのである。
情報の非対称性を前提とした時に、それを解消させる義務がサウナーにはあるのである。
そう、自分が悪かったのである。
水風呂前のシャワーというのは、当然ながら一番混んでいる。
そして、みんな1秒でも早く水風呂に入りたいから、少しでも無駄なシャワーの使い方をしているとそれはそれでクレームものである。
つまり、サウナを出るタイミングも重要で、サウナ内から水風呂前のシャワーが空いていることを確認して、タイミングを見計らってサウナから出る必要がある。
そして、シャワーは、丁寧にそして確実に浴びる。
最後のとどめで、水風呂に入っている人に確実に見えるように、桶で水風呂の水を頭からかぶれば完璧だ。
サウナは、とても奥が深い。。。
家にプライベートサウナが欲しい。。。
そんなことを夢見た瞬間であった。