ogurakaikei’s ブログ

会計・税務及び経済関連(時々雑談)

インボイス制度②(制度開始から半月経過)

インボイス制度が開始(2023年10月1日から)されてから、半月が経過した。

 

制度開始直後には、特に飲食店等で適格請求書発行事業者の登録番号が記載されていないレシートや領収証が見られると記載した。

インボイス制度 - ogurakaikei’s ブログ (hatenablog.com)

 

それから、約半月が経過して、顧問先からのインボイス制度への問い合わせが続いている。

 

むしろ、ここにきてようやく社会が、インボイス制度に真正面から向き合っていると感じている。

 

想定されていた事態とはいえ、日々多忙な中で新しい制度へ事前に、万全の対策をすることは困難ということであろう。

 

「こんなに大変なら、もっと反対しておけば良かった。次の選挙で見ていろ!」なんて、思っている会社や個人事業主の方も多いのではないだろうか。

 

きっと、今問い合わせをしている方々は、どちらかというと新しい制度にむしろ感度が高い方で、年明けの確定申告時にはもっと混乱することになるのであろう。

 

会計事務所としては、事前に注意喚起は十分にしているつもりなのだが、なかなか万全の体制を事前に整えて頂くというのは難しいものである。

 

よくある問い合わせとして、「適格請求書発行事業者として登録した取引先が、これまでと変わらない請求書しか出してくれない。」と言ったケース。

 

(インボイスQ&A_国税庁)

 

当然、消費税法で、「適格請求書発行事業者は、誤った請求書を発行してしまった場合には、修正した適格請求書を交付しなければならない。」と定められているので、当然に取引先は交付義務があり、逆に買手側は当然の権利として再交付の主張が出来る。

 

ただ、世の中そんなに単純ではなく、取引先によっては、「対応出来ない!!」の一点張りというところもあるという。

 

まあ、想定の範囲内と言えば範囲内なのだが、そもそも制度がしっかりと国民に理解されていないことが要因なのだろうと感じている。

 

だって、法律で定められているのに正当な理由なく「対応出来ない!!」と言っているわけで、社会全体で制度がしっかりと理解されていれば、大人がそんな事は言わないはずである。

 

(インボイスQ&A_国税庁)

 

こういったケースを想定してか、取引先が対応出来ない場合には、買手側が仕入明細書等を作成して、それを取引先に確認してもらえば代替できるとQ&Aにはあるが、じゃあこれをずっと買手側はやらないといけないんですか?という話ではないだろうか。

 

確定申告時又は、決算時までどうしても取引先に対応して頂けない場合には、上記の代替策を採用せざるを得ないが、顧問先の手間が増えてしまうということはもちろんの事、インボイス制度を社会に浸透させるということを真面目に考えるのであれば、むしろ妨げになるのではないかと感じている。

 

そんな思いもあり、顧問先には「まずは、買手の正当な主張として、取引先に修正した適格請求書を作成してもらいましょう。」とお話をしているのであるが、顧問先によっては「取引先を説得するよりも、自分で対応してしまった方が早い」と考える事もあり得るであろう。

 

そういった中で、どう会計事務所として対応していくのか、なかなかのジレンマではある。

 

ただ、インボイス制度をこれから続けていくのであれば、社会への浸透は避けては通れず、浸透しなければずっとこういう事態が続くというのもまた事実である。

 

それって、はっきり言って生産性のない事態ですよね。。。

 

そういえば、初めて消費税が導入された時は、どんな事になっていたのだろう。

 

絶対、レシートや領収書に消費税を明記しない課税事業者もいたことだろう。

 

一方で、無条件に消費税分上乗せ出来ると、張り切って対応した免税事業者もいたかもしれないが。。。

 

今でも、はっきりと覚えているのだが、消費税導入当初、小学生にもなっていない自分が駄菓子屋で100円の物を買って、駄菓子屋のおばあちゃんから100円を請求されたので「消費税はかからないんですか?」と尋ねるとおばあちゃんは、「そんなものかからないよ、誰が消費税なんて作ったんだろうね~。」と言っていた。

 

今思えばきっと、その駄菓子屋は免税事業者だったのであろうが、消費税制度に対する社会の状況は、まさに今のインボイス制度の状況と同じなのではないだろうか。

 

そうであるならば、いつか社会に浸透し、当たり前になる日が来るのであろうか。

 

確かに、他の多くの国では既に導入されていた制度ではある。

 

会計事務所として、制度がある以上は淡々と対応する他ないが、フラットな目で今後の動向を見守りたいと思う。