ogurakaikei’s ブログ

会計・税務及び経済関連(時々雑談)

中世における対中国貿易と東アジア経済(2/4)

 東アジアの政治情勢は、13世紀初頭のモンゴル帝国の台頭で大きく変化しました。モンゴルは、ユーラシア全土にまたがる大帝国を築き、中国では「元」を建国して海上交易へも積極的に乗り出し、新都「大都」の中心部に人口の港を建設し、運河で海に接続しました。モンゴル勢力が日本に襲来(元寇)した主な理由は、元への朝貢を求めてのことと思われ、1274(文永11)年と81(弘安4)年の2回のモンゴル襲来の間にも、日本と中国との間の非公式な貿易は断続的に行われました。

 日本側の貿易の担い手は、有力寺社勢力に加え、鎌倉幕府の政治的実権を握っていた北条氏などで、日本から元への輸出品は、砂金・刀剣・扇・蒔絵・硫黄・銅など、日本における元からの輸入品は、銅銭・陶磁器・唐織物・香料・薬種・茶・漢籍などでありました。日本への銅銭の流入は続き、その大部分は宋銭でありました。貿易の内容では日宋貿易と日元貿易に大きな変化はないものの、大陸民族の大規模な襲来を受けたことは、人々の国際意識を大きく変えたものと思われます。

中世における対中国貿易と東アジア経済(3/4)に続きます。

 

参考文献

・日本経済の歴史(名古屋大学出版会)